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第18章(4)雪side
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しおりを挟む響夜は、初めて会った時怖かった。
手を握り締められて、睨まれて……。嫌われてるんだ、って思った。
紫夕を殺そうとして、紫夕に怪我を負わせて……。絶対に好きになんてなれない、って思った。
ーー……それなのに、なんで?
オレ今、響夜の姿を見たら、ホッとした。
「っ、……ハハハッ。
これはこれは、兄君のご登場とは驚いたな」
壁に叩き付けられた風磨さんが、ゆっくり立ち上がって響夜を見つめる。
叩き付けられた壁には亀裂が入っているというのに、笑いながら平然と立ち上がるその姿には驚くべきだろう。
が、それよりもすごいのは……。
「扉から入って来られたのに、全く気配に気付かなかったよ。
さすがは"闇に潜む黒き疾風"の血を受け継ぐ者だ」
ダークゲイルーー。
おそらくそれは響夜が受け継いでいる魔物の事だろうが、無知なオレにはそれがどの位すごいのか分からなかった。
けど、風磨さんの言葉に目を移すと、ガタイの良い男達が鍵を施錠して閉めていった筈の扉が開いていて……。それは響夜が、オレ達に全く気付かれないよう完全に気配を消して鍵を解除し、物音も立てずに入って来た、と言う事を意味していた。
オレだって魔物なのに……。
響夜が言葉を発し、風磨さんを吹っ飛ばすまで気付けなかったのもそうだし。自分には、そんな事まだまだ到底出来ないと思った。
しかし。そんな格の違いを見せ付けた響夜だが、どこか普段とは違う。
いつもは冷静で、それか人を揶揄うような余裕のある態度なのに……。
ーー何か、怒ってるの?
そう、ピリピリしたものが伝わってくる空気だった。
そんな雰囲気を纏ったまま、響夜が口を開く。
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