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第18章(1)雪side
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しおりを挟む「こっちに来て、これを着けるんだ」
「……、……それは?」
「言っただろう?魔物の力を使われると厄介だからね。この首輪でその力を制御させてもらう」
魔物の力を抑え込まれてしまったら、オレが風磨さんに抵抗出来る術はなくなってしまう。
けど。
あの首輪を着ける事を拒めばハル君とリンちゃんは……、……。
「ーー……分かりました」
オレの答えは、たった一つしかなかった。
オレはゆっくり足を踏み出すと、風磨さんの近くまで行ってパーカーのフードを取って見上げた。
「貴方の言う通りにします。
だから、二人を解放して下さい」
「……フフッ。
いいねぇ、その潔さ。惚れ直すよ」
舌舐めずりをしながら見下ろされて、ゾクッと震える心。グッと堪えていると、風磨さんの手によってオレは首輪を着けられる。
ひんやりとした感触の後に、カチンッて音が鳴って……。そしたら、風磨さんの後ろに居た男達はハル君とリンちゃんから手を放した。
さるぐつわと両手は縛られたままだが、怪我は無さそうだし、足は自由。これで二人は逃げられる。
解放された二人を見てホッと胸を撫で下ろすと、オレの目の前に風磨さんが手を差し出す。
「さぁ行くよ、花嫁さん。
向こうに車を用意してある」
花嫁さんーー。
その事も、少し斬月から聞いている。橘さんに頼んで、オレを貰う、って約束をした事……。
おそらく実験動物としてだろうが、そんなの御免だ。
でも、今拒絶する訳にはいかない。
オレが差し出された手を取ると、風磨さんは満足気に微笑んだ。
「良い子だ」
振り払いたい感情を抑え込んで、手を引かれながら歩いて行くと、解放されたものの恐怖から腰を抜かしてその場に座り込んでしまっているハル君とリンちゃんとすれ違う形になる。
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