スノウ2

☆リサーナ☆

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第18章(1)雪side

18-1-1

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童話のヒロインも、魔法が解けてしまった時こんな気持ちだったのかなーー?

童話だったらこの後に、王子様が迎えに来てくれる、って言う素敵な終わりハッピーエンドになるのかも知れない。

……
…………けど。
オレには、そんな希望を抱ける余裕はなかった。
元々紫夕しゆうに愛してもらえた事が奇跡だったのに、紫夕あれ子供これもと欲張って……。どんどん今以上を望んだ、オレがいけなかったんだ。

夢だと分かりながら夢を見る程恋をして。
叶わないと知りながらも願う程、オレは紫夕しゆうを愛してたーー……。


「っ、気持ち悪りぃ……ッ」

ついに、そう、言われちゃった。
オレの事を「自分にとって1番の綺麗だ」って言ってくれていた紫夕しゆうにでさえ、今はもう、そう映るんだ。

「……そう、だよね。
気持ち悪い……よ、ね……?」

男なのに、魔物なのに……。
欲を出したオレは、きっと紫夕しゆうが愛して「綺麗だ」と言ってくれたあの頃より、欲深くて汚くなってしまったんだ。

これは、オレに与えられた罰だーー……。

紫夕しゆうが再び出て行ってしまって、暫くして……。涙は、もう出尽くした。
すると、ずっと物陰に隠れていた紫雪しせつが歩み寄って来て、オレを見上げて「みゃ~」と鳴いた。
その、どこか悲しそうな鳴き声を聞いたオレは、涙を手で拭った後。微笑んで、紫雪しせつの頭をそっと撫でた。

「……紫雪しせつ
紫夕しゆうの事……よろしくね?」

オレがそう言うと、紫雪しせつは何かを察したように跳びついてくる。
けどオレは、何回か撫でた後。床に紫雪しせつを残して立ち上がった。

……もう、ここに居る訳にはいかない。

「赤ちゃんの事……言えなくて、良かった」

そっとお腹に触れて、心からそう思った。
今でもこんなに心が痛いのに、赤ちゃんの存在を知られて、「産むな」って紫夕しゆうに否定されたら……。拒絶のあんな表情をされたら、もう、本当に立ち直れなかった。
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