スノウ2

☆リサーナ☆

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第17章(3)紫夕side

17-3-4

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「やだ……っ、やめてッ!今だけは嫌だッ!!」

今だけは嫌だーー。
そのゆきの言葉に隠された想いに気付く筈もなく、俺はただ、"ゆきが俺を拒絶している"としか思えなくて……。涙目になりながら、必死に抵抗するその姿に逆上するだけだった。
片手で両手を掴んで、振り解けない程に力を込めて抵抗を阻止すると、ゆきのズボンと下着を太ももまで下げて、強引に身体の向きを変えさせた。
もう何も見ないように。何も見れないように、後ろから攻めてやろうと思った。

……けど。
俺が自分のズボンのベルトに手を掛けた瞬間。

「ーー……ッ、いっ!?」

ゆきを押さえ付けていた左腕に痛みが走った。
そして、その直後に聞こえてきたのは「グルルルルッ」と言う、魔物の唸り声。

ゆきが、俺の左腕に噛み付いて威嚇の唸り声を上げていた。

ギロリッ、と背後にいる俺を横目で睨むその瞳には紅い輪郭が表れていて……。それは、ゆきが魔物状態になっている時の証。
きっと、それは正当防衛だった。
身重の身体を襲おうとした俺から何とか護ろうとしたスノーフォールの本能が、咄嗟に飛び出して俺を攻撃したんだ。

でも、その状況を目の当たりにした俺には絶望感以外の何者でもなかった。

魔物化したゆきは、体当たりして自分から突き飛ばすと、ベッドから落ちて尻餅を着く俺に向かって牙を剥き、再び近付こうものなら容赦はしない、と言った威圧感で唸り声を上げている。

「……。……そ、っか。
……、……そんなに、嫌かよ」

その姿に、今までの全てを拒絶されたように感じた。
どんな風に変わろうとも、ゆきが何者であろうとも、愛して、大切にしてきたつもりだった。

けど、本当に、"つもり"だったのかも知れないーー……。

「……分かった。
……。もう、いい……」

俺はそう呟いてゆっくり立ち上がると、脱ぎ捨てて床に落ちていたシャツと上着を手に取った。
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