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第17章(2)雪side
17-2-1
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そのまさかの言葉に、一瞬、瞬きも呼吸も忘れた。
サクラちゃん、おなかにあかちゃんがいるのーー?
そんな事、言われると思っていなかったし。自分には、絶対聞く事のない言葉だと思っていた。
予想外過ぎて、驚き過ぎて……。否定の言葉も、出て来ない。
あか、ちゃん……っ?
胸の鼓動がドクンッと響いて、こめかみから一筋の汗が流れて頬を伝って、落ちた。
溝落ちを摩っていた小刻みに震える手を下腹部に滑らせると、触れた瞬間に今まで感じた事のない違和感を内部に感じた気がした。
するとその時、リンちゃんの言葉に拍車をかけるように亜希さんが言った。
「そうだよ、鈴夏の言う通りだよ!
サクラさん、そうなんじゃないかい?あんた、あの一緒に暮らしてるお兄さんと新婚さんなんだろっ?間違いないよ!」
「っ、……ぁ、……で、でも……」
頭の中が真っ白で、混乱して、なんて答えたら良いのか分からない。
赤ちゃん?
それ、って……オレが妊娠してる、って事ーー?
必死に頭の中で整理しようとしていた。
けれど、すっかりめでたい事だと盛り上がってしまっている亜希さんが、まだ気持ちの追いついていないオレに手を叩いて言う。
「そうだ、すぐにお医者さんに診てもらおう!」
「!……え?」
「そしたらすぐにハッキリするよ!ねっ?」
その言葉に、胸がザワつく。
混乱しながらも、それだけは駄目だ!ってハッキリと分かった。
「良いお医者さんが居るんだよ。今すぐ呼んで……」
「ーーっ、……止めて下さいッ!!」
オレは立ち上がってお医者さんを呼びに行こうとする亜希さんを引き止めて、思わず怒鳴ってしまった。
その様子を見て、ハル君とリンちゃんがビクッとしてオレを見ている。
そんな二人を見て、ハッとして……。オレは何とか冷静さを装うと、口を開いた。
サクラちゃん、おなかにあかちゃんがいるのーー?
そんな事、言われると思っていなかったし。自分には、絶対聞く事のない言葉だと思っていた。
予想外過ぎて、驚き過ぎて……。否定の言葉も、出て来ない。
あか、ちゃん……っ?
胸の鼓動がドクンッと響いて、こめかみから一筋の汗が流れて頬を伝って、落ちた。
溝落ちを摩っていた小刻みに震える手を下腹部に滑らせると、触れた瞬間に今まで感じた事のない違和感を内部に感じた気がした。
するとその時、リンちゃんの言葉に拍車をかけるように亜希さんが言った。
「そうだよ、鈴夏の言う通りだよ!
サクラさん、そうなんじゃないかい?あんた、あの一緒に暮らしてるお兄さんと新婚さんなんだろっ?間違いないよ!」
「っ、……ぁ、……で、でも……」
頭の中が真っ白で、混乱して、なんて答えたら良いのか分からない。
赤ちゃん?
それ、って……オレが妊娠してる、って事ーー?
必死に頭の中で整理しようとしていた。
けれど、すっかりめでたい事だと盛り上がってしまっている亜希さんが、まだ気持ちの追いついていないオレに手を叩いて言う。
「そうだ、すぐにお医者さんに診てもらおう!」
「!……え?」
「そしたらすぐにハッキリするよ!ねっ?」
その言葉に、胸がザワつく。
混乱しながらも、それだけは駄目だ!ってハッキリと分かった。
「良いお医者さんが居るんだよ。今すぐ呼んで……」
「ーーっ、……止めて下さいッ!!」
オレは立ち上がってお医者さんを呼びに行こうとする亜希さんを引き止めて、思わず怒鳴ってしまった。
その様子を見て、ハル君とリンちゃんがビクッとしてオレを見ている。
そんな二人を見て、ハッとして……。オレは何とか冷静さを装うと、口を開いた。
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