スノウ2

☆リサーナ☆

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第17章(1)雪side

17-1-2

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真っ赤な顔を俯かせて、オレは洗面所へ行くと洗面台の蛇口を捻り、熱の高まった顔を冷たい水で洗った。

……キス、したかったな。

タオルで濡れた顔を拭きながら、オレはそっと自分の唇に触れた。
そう言えば、昨日は一度もしていなかった事に気付く。頬や額に口付けられる事はあったけど、唇にはされていなかった。
その事に気付きながらも、オレはきっと昨夜はたまたまだ、って思って……。深く考えず、朝食を食べる為にリビングに戻った。


木製のテーブルとイスの食卓に、横並びに座って朝食。
一緒に守護神ガーディアンの狭い寮に住んでいた際の習慣で、なんか向かい合って食事をするのに慣れなくて、オレは1番しっくりくる紫夕しゆうの左横に座った。
体調は今朝も大丈夫そうだけど、食欲はあまり湧かなかったオレは苺と野菜ジュース。紫夕しゆうはパンを焼いて、バターを塗って食べていた。
でも、ふと隣に視線を移すと紫夕しゆうの目の下にクマが出来ている事に気付く。

「……紫夕しゆう。もしかして、昨日、寝てないの?」

それを見て、まさか、って思った。
さっき紫夕しゆうは「早く目が覚めた」って言ってたけど……。そのクマは、とてもそれだけで出来たものとは思えなかった。
心なしか、顔色もあんまり良くない気がする。
けど、オレの言葉に紫夕しゆうは「ははっ」って笑って言った。

「んな事ねぇよ」

「……嘘。だって、クマ出来てるよ?」

「あ~、久々に仕事したからかな?昨日は疲れてたんだ」

「……疲れたのに、あんまり眠れなかったの?」

質問を重ねると、紫夕しゆうは食べる手を止めてオレの方を見た。
でも、またすぐに微笑って言う。

「ホラ、あれだよ。疲れ過ぎてあんまり寝れない事、あるだろ?それだ」

心配すんな、って頭を撫でられたけど……。さすがにその様子には、オレは何かおかしい、って気付いた。
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