スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
331 / 589
第17章(1)雪side

17-1-1

しおりを挟む

「ーー……あれ?
紫夕しゆう、もう洗濯してくれたの?」

朝。
目が覚めて顔を洗いに洗面所へ行くと、脱衣所の籠に入れて置いた筈の洗濯物が綺麗さっぱりなくなっていた。
疑問に思って台所で朝食の支度をしている紫夕しゆうの元へ行き問い掛けると、背を向けたままの彼から返事が返ってくる。

「ああ。ちょい、目が早く覚めちまってな。もう一度寝るには時間が微妙だったから、洗濯したんだ」

「そう、なんだ……。
ごめんね。オレぐっすり眠ってて、気付かなくて……」

魔物の力に目覚め始めてから減っていた筈の睡眠時間がここ最近はガラッと変わってしまい、一度眠るとなかなか起きれなくなってしまっていた。
体調が悪いせいだと思うけど、そのせいで今はすっかり紫夕しゆうより起きるのが遅くなってしまい、家事もほとんど任せきり。
申し訳なくて謝ると、歩み寄ってきた紫夕しゆうが俯いていたオレの頭をポンッて撫でながら言った。

「謝るな、って言っただろ?お前が今優先するのは、身体を休めて体調を整える事だ。
だから、全部俺に任せて、甘えてくれていい」

「っ、……紫夕しゆう

そう言う紫夕しゆうがオレにはすごくカッコ良く映って、胸がキュンとした。
思わず見惚れて見上げていると、頭に置かれていた紫夕しゆうの手がオレの頬に降りてきて、親指でそっと唇を撫でられる。

あ、……キス、される?

嬉しくて、胸を弾ませて、オレは目を閉じた。
……けど。唇と唇が触れ合う事はなく、紫夕しゆうの手はまたオレの頭に戻って、くしゃくしゃって撫でられた。
あれ?って思って目を開けると、オレと目が合う前に背を向けた紫夕しゆうが言う。

「ホラ、早く顔洗ってこい。お前の好きな苺も洗ってあるから」

「……あ、っ……う、うんっ」

オ、オレの勘違いっ……?
は、恥ずかしい……っ~~。

絶対にキスだ、って思ったのに紫夕しゆうにそんなつもりはなかったのだ、と分かるとすごく恥ずかしかった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

できそこないの幸せ

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:210

富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:945pt お気に入り:221

悪役令嬢は可愛いものがお好き

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:1,893

「続きがある台本たち」

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:284pt お気に入り:2

【完結】うちの子は可愛い弱虫

BL / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:203

ミューズ ~彼女は彼らの眩しい人~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

処理中です...