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第16章(4)紫夕side
16-4-5
しおりを挟むまだ夜中。
電気を点けず、暗い部屋の中を静かに歩いて脱衣所へ向かうと扉を閉めて、俺はそっと自分の下着の中に手を忍ばせた。
っ、……雪。気付いてねぇ、よな?
下着の中で触れた男の部分はすでに固く大きくなって、信じられない位に先走りの液で濡れていた。
雪を見て、触れて、口付けて……。ずっとずっと、傍に居るだけでどうにかなりそうだった。
「大好き」なんて言われて、胸が締め付けられて……。可愛い、抱きたい、って衝動に駆られない筈がなかった。
その度に、
「やっちゃえばいいだろ?」
「今まで散々世話焼いて、我慢したんだ」
「もう待つ必要なんてねぇよ」
「体調?気持ち?そんなん知るか」
「無理矢理でもいい。抱いちまえよ」
そんな風に、何かに突き動かされそうだった。
だから、日雇いでもいい。仕事を見付けて、やる事を見付けて、少しでも一緒に居られる時間を減らす口実を作った。
それ、なのに……、……。
「っ、はは……。
逆効果、だったかもな……っ」
結局、仕事中も気付けば雪の事ばっかり想ってた。
会いたくて、早く顔が見たくて、想いが募って……。雪に対する愛おしさに気付くだけだった。
ずっと一緒に居たい。
閉じ込めて、誰の目にも触れさせないようにして……。俺の事以外、必要じゃないと思わせたい。
そうすれば、雪は何があっても俺から離れたりしない。
真実を知っても、逃げられないようにすればいいーー!!
「ーー……っ。
そんなん、強姦魔と同じじゃん……ッ」
そう言いながらも、思いながらも。今すぐにでも、雪の中にブチ込みたいと言う欲望を持った下半身の熱が冷める事はない。
俺は自らの液で滑りやすくなっている自身を強く握り締めて、思いっきり擦り始めた。
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