スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
323 / 589
第16章(3)雪side

16-3-4

しおりを挟む

やっぱり、オレには何もさせてくれないのかな?と、思っていると、紫夕しゆうがそのままの体勢で言う。

「……じゃあ、一緒に入るか?」

「!……え?」

「体調良いなら……その、久々に」

「っ、……」

紫夕しゆうのドキドキがうつるみたいに、オレの顔もカアッと熱くなった。
一緒に入るのも、裸を見合うのも初めてじゃないのに……。久々だからか、何だか恥ずかしい。

「嫌、か?」

「っ、そんな事ない!……っ、ただ……」

何だか胸がいっぱいいっぱいで、苦しい。モヤモヤする。

お風呂に誘ってもらえて、一緒に入れる事は嬉しいのに……、……なんで?

自分の気持ちが分からなくて戸惑っていると、紫夕しゆうはまた優しく言ってくれた。

「大丈夫。抱いたりしない」

「!……え?」

「お前が嫌がる事は……。無理矢理には絶対にしない」

「……」

「約束だ」

「っ、紫夕しゆう……」

紫夕しゆうに言われて、胸のモヤモヤの理由に気付いた。

オレ、今、紫夕しゆうの全ての想いに応えてあげられないからだーー……。

オレの紫夕しゆうへの想いは変わらない。大好きだし、誰よりも大切な人。
けど今、こうして抱き合う事やキス以上の事に応えられる自信がないんだ。
オレ、知ってる。紫夕しゆうが本当は、ずっとオレの事抱きたいのに我慢してくれてるの、知ってるんだ。
それなのに……。そんな気持ちに気付いているのに、ただ甘えたいと思うのはやっぱり自分の身勝手な気がした。
でも、紫夕しゆうはオレをひょいっとお姫様抱っこすると、もう一度尋ねる。

「一緒に入るか?」

「っ、……」

「入りたいか、入りたくないか。素直に言え」

「……。は、入りたい」

本当に。ただ、甘えたいだけでいいのかな?って不安を抱えながらオレが答えると、そんな不安を消してくれる笑顔で紫夕しゆうが言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。

嘘の日の言葉を信じてはいけない

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが

なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です 酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります 攻 井之上 勇気 まだまだ若手のサラリーマン 元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい でも翌朝には完全に記憶がない 受 牧野・ハロルド・エリス 天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司 金髪ロング、勇気より背が高い 勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん ユウキにオヨメサンにしてもらいたい 同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

処理中です...