スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
306 / 589
第15章(3)紫夕side

15-3-3

しおりを挟む

もしかして、どこか具合でも悪いのかーー?

そう思って頭を撫でて様子を伺うが、俺が撫でれば嬉しそうにして擦り寄ってくる。
元気がない訳じゃない。
数日後に気付くが、どうやら肉に飽きた様子だった。果物や野菜を好んで食べるようになって、肉は次第に少ししか食べなくなっていった。

ま、そう言う時もあるよな?

その時、俺はそんな風に軽くしか考えなかった。
紫雪しせつだって同じキャットフードを与え続けていたら飽きてあまり食わない時もあったから、それと一緒だ、って思っていた。

その日以来。
甘やかしかも知れないが、俺はゆきがよく食べる野菜や旬の果物を町へ出て買って来てやり、食べさせてやった。

……
…………けど。
そんな毎日が続いた、ある日。

「っ、ゆき?どうしたんだっ?」

ゆきが、突然グッタリして寝床から動かなくなった。
用意した大好物の野菜や果物に見向きもせず、一口も食べず、ただ横になっている。
傍に行って、声を掛けながら撫でてやれば顔は上げるが、その場から起き上がろうとしない。
撫でてやった頭や額がいつもより熱い気がして体温を計ると、それ程高くはないが熱があった。

人間なら心配する程の熱じゃねぇが……。ゆきは元々身体が弱いし、魔物スノーフォールにとっての体温の変化がどれだけ悪いのか分からねぇな……。

スノーフォールは氷と雪の種族だ。
もしかしたら、体温が少しでも上がると身体にものすごくダメージがある可能性は十分にある。
俺はとりあえず川で濡らしてきたタオルで頭を冷やしてやり、救急キットに何か使えそうな薬がないか漁った。
朝日あさひから貰った薬は、以前使ってしまった為もうなく……。あるのは、人間用の風邪薬か解熱剤だけ。

ゆきの身体はまだ人間のままだし、この薬でも効くかーー……?

飲ませるか、もう少し様子を見るか。俺は薬と睨めっこして悩んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

続きは第一図書室で

蒼キるり
BL
高校生になったばかりの佐武直斗は図書室で出会った同級生の東原浩也とひょんなことからキスの練習をする仲になる。 友人と恋の狭間で揺れる青春ラブストーリー。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

好きな人に迷惑をかけないために、店で初体験を終えた

和泉奏
BL
これで、きっと全部うまくいくはずなんだ。そうだろ?

処理中です...