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第15章(3)紫夕side
15-3-3
しおりを挟むもしかして、どこか具合でも悪いのかーー?
そう思って頭を撫でて様子を伺うが、俺が撫でれば嬉しそうにして擦り寄ってくる。
元気がない訳じゃない。
数日後に気付くが、どうやら肉に飽きた様子だった。果物や野菜を好んで食べるようになって、肉は次第に少ししか食べなくなっていった。
ま、そう言う時もあるよな?
その時、俺はそんな風に軽くしか考えなかった。
紫雪だって同じキャットフードを与え続けていたら飽きてあまり食わない時もあったから、それと一緒だ、って思っていた。
その日以来。
甘やかしかも知れないが、俺は雪がよく食べる野菜や旬の果物を町へ出て買って来てやり、食べさせてやった。
……
…………けど。
そんな毎日が続いた、ある日。
「っ、雪?どうしたんだっ?」
雪が、突然グッタリして寝床から動かなくなった。
用意した大好物の野菜や果物に見向きもせず、一口も食べず、ただ横になっている。
傍に行って、声を掛けながら撫でてやれば顔は上げるが、その場から起き上がろうとしない。
撫でてやった頭や額がいつもより熱い気がして体温を計ると、それ程高くはないが熱があった。
人間なら心配する程の熱じゃねぇが……。雪は元々身体が弱いし、魔物にとっての体温の変化がどれだけ悪いのか分からねぇな……。
スノーフォールは氷と雪の種族だ。
もしかしたら、体温が少しでも上がると身体にものすごくダメージがある可能性は十分にある。
俺はとりあえず川で濡らしてきたタオルで頭を冷やしてやり、救急キットに何か使えそうな薬がないか漁った。
朝日から貰った薬は、以前使ってしまった為もうなく……。あるのは、人間用の風邪薬か解熱剤だけ。
雪の身体はまだ人間のままだし、この薬でも効くかーー……?
飲ませるか、もう少し様子を見るか。俺は薬と睨めっこして悩んだ。
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