スノウ2

☆リサーナ☆

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第15章(3)紫夕side

15-3-2

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***

「!……おい、ゆき~?なんでこんな木の枝ばっかり持って来るんだよ」

車の荷台の片隅。ゆきが自分の寝床にしている場所を見ると、"また"葉っぱが付いた木の枝を持ち込んでいた。

これで何度目だろうかーー?

ここ最近、外に出してやると毎回のように持ち帰って来て、注意しては捨てて、を繰り返しているのだが……。今日もふと見ると、またいつの間にか集めて来ている。
呆れて溜め息を吐きながら頭を撫でてやるがその表情に悪びれた様子はなく、むしろ「捨てないで」と訴えているかのように、子犬のような瞳で見つめてくる。
可愛い表情に負けそうになるが、一度許してしまったら荷台が木の枝だらけになってしまう。俺はグッと堪えて、自分を持ち直して言い聞かせるように言った。

ゆき?木の枝は荷台に持ち込んじゃダメだ。虫だってついてくるし、荷台が汚れちまうだろ?
ホラ、代わりにブランケットいっぱいやるから!寝床作りたいならこれ使え」

木の枝を取り上げて、替わりにブランケットを差し出すと、ゆきは暫く名残惜しそうに木の枝を見ていたが……。ブランケットに目を移して、何枚か選ぶと咥えて寝床に持って行った。

……なんか、不満そうだな。

ゆきの表情や行動で今どんな心境なのか、俺には大体分かってきた。
今は、"ブランケットは好きだけど、木の枝は木の枝で欲しい"、と思っていそうな感じだ。敷いては横になってみて、また起きては直して、を繰り返している。

魔物スノーフォールとしてのこだわりとか習性なのかーー……?

龍族は珍しく、人が滅多に近付かない場所に巣を作ったり生息する事から圧倒的に他の魔物よりも情報が少ない。
だから、俺にはゆきのこの行動が何を意味するのか意味不明だった。

それに、寝床の事だけではなく。変化は食事の時にも表れ始めた。

「……ゆき
どうした?もういらないのか?」

大好物だった肉。
ある日、ゆきは半分くらい食べただけで寝床に行って横になってしまった。
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