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第15章(2)紫夕side
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しおりを挟む「そうなんですね……。
紫夕さんの考えや想いは分かりました!
けど、それなら僕以外にもたくさんの人の協力が必要だと思います。高木と前園も、ここに呼んでも大丈夫ですか?
色々話して、具体的にどうしたら良いか決めていきましょう!」
杉本は俺の話を聞いて、そう前向きな返事をしてくれた。
それに、高木と前園。その二人は杉本と同期で、俺も何度か任務を一緒に熟した事がある若者の中でなかなか頼り甲斐がありそうな人物だった。
だから、俺はOKした。自分だけでは足踏みしているだけで、いつまでも前に進めそうになかった事が動き出す気がして……。上手い話に、乗っかり掛けた。
孤独は、人を弱くするーー。
この時の俺はまさにその通りで、完全に疑う事を忘れてしまっていた。
「ああ、よろしく頼む!
……あ、わり。俺、ちょっとトイレ行ってくるな」
この時。
トイレに行く為に席を立たなかったら、俺は大切なものを全て失っていた。
夢はおろか、雪と一緒に居られる時間さえ奪われていただろう……。
……
…………俺がトイレから戻ると、席に杉本の姿がなかった。
杉本もトイレか?
そう思いながらふと店の壁掛け時計を見ると、時刻は間も無く16時。車を離れて、この町に来てから二時間が過ぎていた。
……さすがに、今から高木と前園を交えて話すんじゃ、日が暮れちまうな。
残して来てしまった雪と紫雪の事が気になる。
それに、今から色々話をするのはあまりにも時間がかかると思った俺は、後日また集まる事を杉本に提案しようと思った。
そう決めた俺が何気にカフェの出入り口に目を移すと、杉本の背後らしき姿を見付ける。
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