スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
299 / 589
第15章(2)紫夕side

15-2-1

しおりを挟む
***

少し考えれば、分かる事だった。

人間と魔物まものが共存出来る世界を創るなんて馬鹿げてるーー。

この世の中のほとんどの人間がそう思い、中には身内を殺されたりして、絶対に共存なんて有り得ないと言う想いを抱いている、って。
現に俺だって、好きな相手が……。ゆきが魔物だと知るまで、そんな考えに至らなかったんだから……。

「人間が魔物と仲良く出来たら、争いなんてなくなるのにね!」

もうずいぶん前に、同期で親友の和希かずきがそう言った時。俺だって笑い飛ばしたんだ。

「何バカ言ってんだ!
そんなの絶対に無理だろっ?」……って。

マリィの恋人で、人の悪口とか言わなくて。誰にでも分け隔てなく優しい和希かずきは、争い事が苦手で、いつも平和な考えを俺達に語ってた。
名前の通り、「平和」に「希望」を抱くアイツを、俺は当時、能天気な奴、って思った。

けど、今更になって思う。

和希かずき
お前が今傍に居てくれたら、きっと誰よりも心強く、支えてくれたんだろうな、って……。

……
…………。

「……そんな訳でさ。
俺は今、人間と魔物が共存出来る世界を創りたい、って思ってんだ!」

引ったくりを捕まえた所から場所を替えて、町にあるカフェ。
俺はテーブルを挟んで正面に座っている杉本すぎもとに、自分の胸の内を話した。
ゆきの事やら、まだ深く話せない事もあるが、自分が守護神ガーディアンを抜けた理由。そして、それからの毎日で自分が考え、思った事を伝えたんだ。

杉本すぎもとの話によると、よく分からないが、何故だか俺が守護神ガーディアンを抜けた事に関して疑いが晴れつつあり、指名手配は今は削除。むしろ、守護神ガーディアンの上からは「見付け次第連れ戻せ!」と、良き方向に話が進んでいるらしい。
ゆき守護神ガーディアンに追い詰められ、怪我を負ったあの森の中で、俺の疑いが晴れるような言動をしてくれていた、なんて知らなかったから……。俺は、これが良い機会に繋がると思って、杉本すぎもとに話した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

できそこないの幸せ

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:210

富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:881pt お気に入り:221

悪役令嬢は可愛いものがお好き

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:1,893

「続きがある台本たち」

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:284pt お気に入り:2

【完結】うちの子は可愛い弱虫

BL / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:203

ミューズ ~彼女は彼らの眩しい人~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

処理中です...