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第14章(4)紫夕side
14-4-5
しおりを挟むすると、さすがに紫雪は少し戸惑ったように退き気味だった。
が、雪は積極的に近寄って来ると、再び紫雪の匂いを嗅ぎだし……。
「……っ、雪?!」
それは一瞬だった。
紫雪の首根っこをパクリッと噛んで持ち上げる雪の姿に驚いて、俺は思わず声を上げてしまう。
慌てて取り戻そうとするが、雪はフイッと俺に背を向けて荷台の片隅に……。自分が寝床にしている場所に紫雪を持って行ってしまった。
っ、……大丈夫だ、信じろ。
例え魔物でも、雪は雪なんだ。
必死に自分に言い聞かせて、俺はグッと堪えると、その様子を見守った。
すると、紫雪を寝床に降ろした雪は自分もその場に横になり、スリスリと顔と顔を擦り合わせている。
その姿は、誰がどう見ても愛でているだけ。まるで、子供を可愛がっている母親のような姿だった。
そして紫雪も、そんな雪に寄り添い、スリスリと甘え返している。
ーー……っ。
絶対に、離れ離れになんてさせねぇ……ッ。
そんな二人を見て、俺は本当に幸せな気持ちになった。
人間も、魔物も、動物も、関係ない。
自分にとってかけがえのない存在を、俺は心から護りたい、って思ったんだ。
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