スノウ2

☆リサーナ☆

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第14章(4)紫夕side

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すると、さすがに紫雪しせつは少し戸惑ったように退き気味だった。
が、ゆきは積極的に近寄って来ると、再び紫雪しせつの匂いを嗅ぎだし……。

「……っ、ゆき?!」

それは一瞬だった。
紫雪しせつの首根っこをパクリッと噛んで持ち上げるゆきの姿に驚いて、俺は思わず声を上げてしまう。
慌てて取り戻そうとするが、ゆきはフイッと俺に背を向けて荷台の片隅に……。自分が寝床にしている場所に紫雪しせつを持って行ってしまった。

っ、……大丈夫だ、信じろ。
例え魔物でも、ゆきゆきなんだ。

必死に自分に言い聞かせて、俺はグッと堪えると、その様子を見守った。
すると、紫雪しせつを寝床に降ろしたゆきは自分もその場に横になり、スリスリと顔と顔を擦り合わせている。
その姿は、誰がどう見てもでているだけ。まるで、子供を可愛がっている母親のような姿だった。
そして紫雪しせつも、そんなゆきに寄り添い、スリスリと甘え返している。

ーー……っ。
絶対に、離れ離れになんてさせねぇ……ッ。

そんな二人を見て、俺は本当に幸せな気持ちになった。
人間も、魔物も、動物も、関係ない。
自分にとってかけがえのない存在を、俺は心から護りたい、って思ったんだ。
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