スノウ２

第１４章（４）紫夕side

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「よし、雪ゆき！今日は川で身体を洗ってやるぞ！」

天気の良い正午。
俺は雪ゆきを抱き上げて川まで行くと、浅瀬にそっと降ろして久々に頭から足の先まで洗ってやる事にした。

雪ゆきが心を開いてくれて数日。
最初はまだ本当に心を開いてくれているのか半信半疑で、気を抜けばまた暴れたりするかも知れないと心配だったが……。どうやら、杞憂きゆうだった。
抱いても暴れたりしないし、外に出してやっても逃げようとしない。
それどころか、シャンプーを泡立てて髪を洗ってやり、石鹸で身体を洗い始めると、雪ゆきは気持ち良さそうに目を閉じてじっとしている。

風呂、好きだったもんな。
魔物になっても、根本的なものは変わらねぇのかも知れないな。

魔物の心の雪ゆきと暮らし始めて、分かった事がある。
雪ゆきは龍族だし、俺はてっきり肉食かと思っていたのだが、どうやら雑食。木の実や果物も食べるし、人間の食べ物にも興味があるみたいで俺が食事してると物欲しそうに見てくるんだ。
で、この前試しにパンをやってみたら、普通に美味そうに喰ってた。肉が主食で1番好き、ってだけで、たまになら別の食べ物でも大丈夫そうだ。

それに、頭が良い。
「雪ゆき」って言うのが自分が呼ばれている、って理解出来るらしく反応するし、教えたらトイレの事もすぐに覚えた。
服を着替えさせようとしたら嫌がったが、言い聞かせたら嫌々そうにしながらも着てくれるし。人間の言葉は話せないが、返事はしてくれる。
二足歩行は難しそうだが、意思疎通が出来るから、ずいぶんと一緒に暮らしやすくなった。

しかし、まだまだ驚かされる事もある。

「よし！完璧だ！
どうだ雪ゆき！気持ち良いだろう？」

綺麗に洗ってやった後、タオルで拭いて、髪を乾かして丁寧にブラッシング。その結果、雪ゆきはピカピカのサラサラだ。
が、満足気に話し掛ける俺を無視して、雪ゆきはじっと空を見上げている。