273 / 589
第13章(5)雪side
13-5-4
しおりを挟む「っ、やっぱり!紫夕さんはコイツに騙されてたんだッ……!!」
「おかしいと思ったんだよ!第1隊長が急に守護神を辞めた、なんて!!」
「全てはコイツだ!!
真白 雪……っ、いや!人型魔物が、全ての元凶だったんだッ!!」
その隊長達の言葉を聞いて、無事に一つ目の目的を達成出来たオレはホッとしていた。
これで、大丈夫。
紫夕は人望が厚いから、きっとすぐに疑いは晴れて元の生活に戻れるーー……。
そしてオレは、もう一つの最期の目的に向かって動き出す。
オレは再び氷の矢を造り出すと海斗に向かって放ち、彼の頬に掠めさせた。
「……さぁ。来いよ、海斗」
そう言うと、傷付いた頬から流れ出た血を拭った海斗が……。俯いて、瞬海を握る手に力を込めた。
オレは、もう少し、と。背中を押すように言う。
「お前の下手な狙撃でオレを撃てる?
さぁ!遊ぼう!命を賭けたゲームをオレとしようよッ!!」
「ーー……っ、ぅぁあああーー……ッ!!」
すると。オレの笑い声をかき消すように声を上げた海斗が、こっちに向かって瞬海の弾丸を放った。
ーー……うん。
それでいいよ、海斗。
最初の弾丸はオレに当たる事なく、近くの木に当たって爆発した。
その木が倒れ、ぶつかった木が倒れ、一瞬遮られる視界。でも、次にハッキリとオレの瞳に映る海斗は、その目にしっかりと目的を定めていた。
その眼差しを見つめ返しながら、オレは思う。
どうせなら、この任務が海斗の手柄になって……出世、してほしいな。
海斗は以前に言っていた。
「強くなって、出世して、立派になりたい!
そんで、杏華さんと結婚したいんだ!」……って。
オレ、海斗は良い先輩にも、隊長にもなれると思う。
優しくて、あったかくて、きっと紫夕みたいな存在にいつかなれると思う。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
僕の選んだバレンタインチョコレートはその当日に二つに増えた
光城 朱純
BL
毎年大量にバレンタインチョコレートをもらってくる彼に、今年こそ僕もチョコレートを渡そう。
バレンタイン当日、熱出して寝込んでしまった僕は、やはり今年も渡すのを諦めようと思う。
僕を心配して枕元に座り込んだ彼から渡されたのはーーー。
エブリスタでも公開中です。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる