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第13章(5)雪side
13-5-1
しおりを挟む「ボクは仮屋崎 海斗!一年前から第1部隊に入ったんだ!
よろしくな、雪!」
海斗は、初めて会った時から笑顔だった。
いつも元気いっぱいで、よくしゃべって、明るくて……。オレとは全然違う男の子だった。
あがり症で、ビビりで、全然戦力になれない、って落ち込んでた時もあったけど、誰よりも訓練して頑張ってた。
それに、海斗の明るさや元気があったから、第1部隊はあんなに賑やかで楽しい雰囲気だったんだと思う。
間違いなく海斗は、みんなにとって必要な存在だったよ。
「なっ、雪!ゲームやろうぜ!」
「なあなあ、雪!今日の杏華さん、また一段と綺麗だよな~?」
大した反応も返事も出来ないのに、いつもオレにも積極的に絡んでくれた。
そんな海斗をいいな、って思ってたし、すごくすごく、大好きだった。
オレに少しずつ感情が出てきて、話せるようになった時も、すごく嬉しそうにしてくれて……。
「今度お泊まり会しようぜ!ボクの家に来いよ!
雪と二人、歳の近い男友達として一晩中色んな事話したいんだ!」
そう、言ってくれたよね?
ーー嬉しかった。
あの時は驚いて、すぐに答えられなかったけど、本当に本当に嬉しかったんだ。
ねぇ、海斗。
あの時の誘いは、まだ、"今のオレ"でも有効なのかなーー……?
ーーーうん、行きたい!
オレも、海斗とたくさん話したい!!ーーー
……
…………なんで。
そう、笑顔で答えられるのが、今なんだろうね?
……
…………。
「ハァ……ハァ……っ」
っ、駄目だ……呼吸、整えないと……ッ。
オレは大きな木の幹に手をつくと、もう片手で胸を押さえて上がった呼吸を落ち着けようとした。
洞窟を飛び出してここまで駆けて来たのはいいが、こんな乱れた呼吸では紫夕の安全を確認する前に、先に自分が守護神に見付かってしまう。
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