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第13章(4)紫夕side
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***
翌朝ーー。
辺りが明るくなったらすぐに出発しようと、俺は着々と準備をしていた。
しかし、どうやら今日は雨のようだ。いつまで経っても空はなかなか明るくならず、今にも雨が降り始めそうだった。
なら、いっそ早めに行動するか。
そう決めて、荷物をまとめ終わると斬月を手に取り、そっと胸に抱く。
「斬月、頼む。力を貸してくれ……」
祈るような気持ちで呟き、いつものように斬月を背に背負い、リュックを肩に掛け歩き出そうとした。が、その時。
っ、人?
こんな森の中にーー……?
何やら人の話し声が聞こえた気がしてハッとした。
魔物が出現する場所に好き好んで来る奴はいない。そんな人間は死にたい奴か、仕事などの理由でやむを得ない場合だろう。
咄嗟に茂みに身を隠した俺が暫く様子を伺っていると、話し声は徐々に近付いてくる。そいつ等は……。
「人型魔物ねぇ~。本当にここに居るのか?」
「ああ、少し前に近くの町に現れてこの森に逃げ込んだ、って目撃情報があったらしい」
「お~こっわ!パッと見が人間じゃ、魔物だなんて判断つかねぇもんな!」
「とにかく、この森の中で派遣された守護神の隊員以外と遭遇した際は警戒を怠るなよ?喰われるぜ~」
……っ。
マジ……かよっ。
奴等の会話と顔を茂みから確認して、俺は瞬時に確信した。会話の中にもあったように、そいつ等は間違いなく守護神の隊員で、俺は顔も名前も知っている奴がほとんどだったからだ。
守護神が通報を受けて、雪を討伐に来てるーー。
しかも、さっきの会話。「派遣された守護神の隊員以外と遭遇した際は……」って部分から、俺が今目撃した奴等以外にも隊員が散らばって動いている事が分かる。
もし、雪が守護神に見付かったらーー……?
「っ、……!」
想像もしたくない光景が浮かんで、俺は咄嗟に駆け出していた。
守護神の事を気にしつつも、奴等よりも早く雪を捜すために必死だった。
いつしか、霧雨が降り注いでいた。
……
…………。
翌朝ーー。
辺りが明るくなったらすぐに出発しようと、俺は着々と準備をしていた。
しかし、どうやら今日は雨のようだ。いつまで経っても空はなかなか明るくならず、今にも雨が降り始めそうだった。
なら、いっそ早めに行動するか。
そう決めて、荷物をまとめ終わると斬月を手に取り、そっと胸に抱く。
「斬月、頼む。力を貸してくれ……」
祈るような気持ちで呟き、いつものように斬月を背に背負い、リュックを肩に掛け歩き出そうとした。が、その時。
っ、人?
こんな森の中にーー……?
何やら人の話し声が聞こえた気がしてハッとした。
魔物が出現する場所に好き好んで来る奴はいない。そんな人間は死にたい奴か、仕事などの理由でやむを得ない場合だろう。
咄嗟に茂みに身を隠した俺が暫く様子を伺っていると、話し声は徐々に近付いてくる。そいつ等は……。
「人型魔物ねぇ~。本当にここに居るのか?」
「ああ、少し前に近くの町に現れてこの森に逃げ込んだ、って目撃情報があったらしい」
「お~こっわ!パッと見が人間じゃ、魔物だなんて判断つかねぇもんな!」
「とにかく、この森の中で派遣された守護神の隊員以外と遭遇した際は警戒を怠るなよ?喰われるぜ~」
……っ。
マジ……かよっ。
奴等の会話と顔を茂みから確認して、俺は瞬時に確信した。会話の中にもあったように、そいつ等は間違いなく守護神の隊員で、俺は顔も名前も知っている奴がほとんどだったからだ。
守護神が通報を受けて、雪を討伐に来てるーー。
しかも、さっきの会話。「派遣された守護神の隊員以外と遭遇した際は……」って部分から、俺が今目撃した奴等以外にも隊員が散らばって動いている事が分かる。
もし、雪が守護神に見付かったらーー……?
「っ、……!」
想像もしたくない光景が浮かんで、俺は咄嗟に駆け出していた。
守護神の事を気にしつつも、奴等よりも早く雪を捜すために必死だった。
いつしか、霧雨が降り注いでいた。
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