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第12章(2)雪side
12-2-3
しおりを挟む?……何だろう。この感覚。
今まで当たり前に触れていた水が、何だか違う気がした。
上手くは言えないが、何だか肌に馴染むと言うか……。そして、まるで水に心があるかのようにオレに伝えてきた気がしたんだ。
力を、貸してくれる。……って。
それ、は半信半疑だった。
導かれるように、そっと川の水面に触れてみる。すると……。
「!っ、……嘘」
驚きのあまりすぐに手を引いた。
信じられない。自分の目の前で起きた事態なのに、目を疑う。
触れた瞬間に、その部分の川の水が凍ったーー。
ゴクッと唾を呑んで、もう一度水面に触れてみる。今度はさっきよりも長く。
そしたら、自分の触れた部分から広がっていくように……みるみる川の水が凍りついていくではないか。
っーー……。
これって、もしかして……。オレが魔物の血を、持ってるから?
もしかして、と思いながらも、それ以外説明はつかなかった。
何故、今までは水に触れてもこんな現象は起きなかったのに、突如としてこんな力が目覚めたのかは分からなかったが……。
ーー……使える物は、何だって使う!!
自分の力に戸惑ったのは一瞬。
オレはすぐにその力を受け入れて、この力を自由に使えれば魚を捕らえる事は勿論。これからの旅生活に絶対に役立つと思った。
「……!っ、あ……しまった」
しかし。
初めから上手くいく筈もなく、気合いが入り過ぎた結果。オレは魚を捕らえるどころか、川の水をカチンコチンに凍らせてしまった。
これは、思ったよりも力加減が難しそう……。
けど。無力な自分がこれから役立てそうな事がやっと見付かった。
だからオレは、その後。どうやったらこの力を上手く使えるか、何度も何度も試行錯誤を繰り返した。
そして、その結果。
魔器を扱っていた時のように、変に力まず水の力を信じてーー……。
そうする事で、制御出来る事が分かった。
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