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第12章(2)雪side
12-2-1
しおりを挟む強くなりたい、って思ったーー。
自分の大切な人を、家族を護れるようになりたい。
紫夕は頼り甲斐のあるお父さん。
紫雪は可愛い子供。
そしてオレは、優しくて強いお母さんになりたかった。
だから聞いたんだ、紫夕に。紫夕のお母さんがどんな人だったのか、聞きたかった。
「幼い頃に亡くなっちまったからあんまり覚えてない」って言ってたけど、その想い出を語る紫夕の瞳はとても優しくて、表情も嬉しそうだった。
そんな様子を見てたら、良い家族だったんだ、って分かったよ。
オレも、そんな家族になりたい。
紫夕と紫雪と、素敵な家族になりたいんだ。
……
…………その夜。
眠る紫夕の横で、オレは写真を眺めながら夜更かししていた。
昨日しっかり寝たからか、充電ほぼMAXの今夜は眠くならない。
こんな夜は、暗闇でもよく見える瞳に有り難みを感じる。明るくすると紫夕を起こしちゃうもんね。
受け入れて、上手く付き合っていけば、魔物としての能力もそんなに悪いものではないのかも知れないーー。
いつの間にか、オレはそう思うようになっていた。
響夜は、自分が魔物である事を受け入れて、その能力を上手く使って生きていた。
あんな風に自分も出来たら、きっと今後の生活にも役立つんじゃないか?って思ったんだ。
紫夕と紫雪との生活を守れるなら、魔物の力だろうと、何でも使おう、ってーー……。
自分が普通の人間ではない事を嘆くのは、もうやめた。
こんな自分でも、たった一人でも愛してくれる人がいるのだから、それだけでいい。オレは今、充分幸せだ。
しかし、それにしても……。
っ~~!紫夕、やっぱり可愛い~!!
何度眺めても飽きない。萌えが止まらない。
写真の中の幼い紫夕にキュンキュンしながら、オレは一晩を過ごした。
……
…………。
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