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第11章(3)雪side
11-3-6
しおりを挟む車の荷台でそっと包んでいた上着から出してやると、紫雪はすぐに隅の物陰に隠れてしまい、ずっと震えながら警戒するようにオレを見つめている。
あんなに人懐っこくて、オレの膝上が大好きだったのに……。
怯えた瞳で見つめられて、ショックが隠し切れなかった。
思わず涙が溢れて、その涙が紫雪に引っ掻かれた頬の傷に触れて染みる。
でも、そんな傷の痛みよりも、心の方がずっとずっと痛かった。
「……っ、……ごめんね、ッ」
自分のせいで、紫雪に怖い思いをさせてしまった。
そしてきっとこれからも、オレと一緒に居ると言う事は怖くて、危険な事の連続なのだ。
っ……強く、なりたい。
紫雪を護ってやれなくて、何が家族だよ……ッ。
悲しくて、悔しくて、己の無力を嘆いた。
けれど、泣いている場合ではない。
オレは涙を拭うと、紫夕と紫雪と一緒に居る為に自分に何が出来るのか?二人の為にどうすればいいのかを考えた。
……
…………。
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