スノウ2

☆リサーナ☆

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第11章(3)雪side

11-3-3

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そして、朝ご飯が済んで後片付けをしていると、紫夕しゆうが自分の考えた今後の事について話してくれた。

「え?あの家を捨てて……旅に?」

「ああ。一緒に、色んな場所に行こうぜ。大変な事もあるかも知れねぇが、絶対に楽しい!
……、……嫌、か?」

その提案を聞いて、きっとそれはオレの事を考えて、オレの為に紫夕しゆうが決めてくれたんだ、って思った。

オレが人目を気にせずに生きられるようにーー。

……すごく、申し訳ないな、って思った。
けど、オレには紫夕しゆうと離れる、なんてもう考えられない。許される限り、傍に居たい。一緒に居たい。
そんなオレの答えは、一つしかなかった。

「ううん、嫌じゃない」

紫夕しゆうにギュッと抱きついて、オレは微笑った。

「一緒に旅したい。
紫夕しゆう紫雪しせつと一緒に、色んな所に行きたい」

ずっと夢見てた。
紫夕愛する人紫雪子供と、家族で楽しい想い出をたくさんつくる夢。
本当に叶うんだ、って思ったら、オレにはもう、幸せな気持ちしかなかった。

「よっしゃ!決まりだな!
じゃあ、一度家に戻って紫雪しせつを迎えに行こうぜ!」

「うんっ」

強く手を取り合って、紫夕しゆうと一緒に未来これからを歩むーー。

オレの残りの人生は、もう幸せしかないと思ってた。
一緒に時を重ねて、想い出を増やして……。静かに、その人生の終わりを迎えられると思ってた。

……
…………けど。
そんな考えは、甘かった。

何で忘れてたんだろう。
そんな事は、絶対に無理だって……。

オレが魔物で。
オレが橘さん父さんの息子で。
オレが、橘さん父さんの実験動物である以上……。

ただ、静かに暮らす、なんて事は絶対に無理だった。

……
…………。
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