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第11章(1)雪side
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しおりを挟む広くて大きな腕の中、暖かい温もりと、大好きな匂いに包まれて気持ちが止まらない。
「っ……好き」
また、気付いたらそう言っていた。
何度言っても足りない、尽きない。
どんなに探しても、その気持ちしか出てこない。
「紫夕、っ……大好きッ」
背中に回していた腕に力を込めて、これ以上ない程に密着して想いを伝えた。
すると、「チッ」って小さく舌打ちした紫夕にグッと強く抱き寄せられて……。思わず見上げたら、眉間にシワを寄せた余裕のない表情の紫夕に、そのまま口付けられた。
……
…………
ーー……このまま死んでも、いいと思った。
このまま死ねたら、幸せとすら、思った。
熱い口付けを繰り返されて、脳の芯が溶けてくみたい。紫夕を好きって気持ちと、快感しか感じなくて……。
「っ、あ……!し……ゆぅ……ッ」
オレの背を車に押し付けていた紫夕に身体を持ち上げられたと思ったら、さっきまで指で弄られ、しっかりと濡らされて解された秘部に彼自身がゆっくり挿入ってきた。
こんな場所で、下半身だけ脱がされて、更に……、……。
ーー……でも、止まらなかった。
紫夕に触れてほしくて。求めてもらえて、これ以上にないくらいに幸せだった。
遮る物が何もなくて。
彼そのままに触れられて、触れてもらって。
誰よりも傍に居られる事が、嬉しかった。
熱い吐息混じりに「雪」って呼ばれる声にも。
オレに夢中になって熱っぽく見つめてくれる視線にも。
熱が高まって感じる体温もに、匂いにも……。
全部全部、ゾクゾクして、心地良くて、今までに感じていた以上に感じてしまう。
突き上げられる度に1番奥が疼いて、充分気持ち良いのに、もっともっと、って身体が……。ううん、自分が欲しがってるのが分かるんだ。
「っ、ぅ……雪。んなに、締めんなっ……イッちまう、だろ?」
思わず身体が反応して締めつけていたオレに、紫夕がそう言って、動きを止めた。
その様子に、過ぎる不安と寂しさ。
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