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第10章(1)雪side
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しおりを挟むーーあの時、倒れたオレの事なんて忘れて、可愛い女の子と付き合って、結婚して……。幸せになれば良かったんだっ……ーー
何で、そんな事言っちゃったんだろう。
そんなの、本当は想像したくないくらい嫌で嫌で仕方ないのに……。
膝を抱えて、蹲るようにしてジワジワと滲み出て来る涙を一生懸命に堪えていると、隣で寝転びながら話を聞いてくれていた響夜が言った。
「しっかし、紫夕さん大人気ねぇな~」
「!……え?」
「だって、そうだろ?お前より一回り以上歳上のクセに、気遣いが足りねぇよ」
「っ、……」
響夜の言葉に、胸がギュッとなる。
響夜はオレの話を聞いてくれて、オレの味方になってフォローしてくれてる。
それは、本来喜ぶべき事の筈で、「だよねっ?」て盛り上がるべき所なのかも知れない。
……けど、オレは複雑だった。
あんな事を言ったオレが言える立場ではないけれど、紫夕が誰かに、悪く思われるのは、嫌だったんだ。
「おまけに、人混みが苦手なお前を残して行っちまうとか……。マジ信じらんねぇ」
「っ、……」
「ガッカリだよ。ちっさい男なんだな、紫夕さんはーー……」
「ーーち、違うよ!」
紫夕の事、悪く言わないでーー……!!
響夜の言葉に耐え切れなくなって、オレは思わず叫んでいた。
相談したクセに、喧嘩した当事者のクセにこんな事を言うのは間違っていると思いながらも……。紫夕が誤解されるのは嫌だった。
「オ、オレが……悪いんだ!
紫夕が悪いんじゃ、なくて……っ。オレが、自分に自信がなくて……弱かったから……っ」
だから必死に、今回の事は自分がいけなかったんだ、と伝えようとすると、いつの間にか上半身を起こしていた響夜に被っていたパーカーのフードをバサッと脱がされた。
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