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番外編 響夜side
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しおりを挟むそして、僕とサクヤは刃を交える事になった。
当然、別れた時に1歳だったサクヤが僕の事を覚えている筈もなかった。
新たな居場所で、新たな人に護られ、またサクヤ自身も新たな大切な人を護る為に必死だった。
ーー……あんなに小さかったのに、な。
虚弱体質で、発育もあまり良くないと言われていたサクヤの成長した姿を見て……。僕を上回る想いで倒された時は、このまま殺されてもいいと思った。
でも、僕はその時、知れたんだ。
雪桜を通して、サクラの想いと真実を……。
気絶した僕の心の中にサクラの想いが流れ込んで来て、全てを教えてくれた。
僕を待たずに、施設を逃げ出した経緯や理由。その後どうなって、今に至るのか……。
そして、施設を逃げると決めた時も、逃亡生活の日々の中でも、僕の事を忘れた日はなかった事を……、……。
ーー……何故、信じられなかったんだろう?
僕の意識の中で「ごめんね」と、ただひたすらに涙を流しながら謝るサクラ。
そんな表情が見たかったんじゃない。
僕は、サクラの笑顔が見たかった。
僕は、サクラが好きだったーー……。
サクヤと雪桜が鬼響を砕いてくれたお陰で、僕は人の心をもう一度取り戻した。
弱かったのは、護られていたのは、僕の方だったと、気付いた。
もう、負けたりしない。
今度こそ、あの時の約束を守るーー。
……
…………だから、僕は紫夕さんに手を貸す事を決めたんだ。
サクラが死んだ後、サクヤを護って、大切にしてくれた人。
仮死状態になったサクヤを、再び目覚めさせる為に必死になってくれる人。
そして何より、サクヤが護ろうとして、大切にして……愛してる人だから、…………。
仮死状態から目覚めたサクヤを、町で見付けたのは偶然だった。
親父に頼まれた任務の帰りに立ち寄った町で匂いを感じた時は、正直迷ったよ。
サクヤと、顔を合わせるべきかーー……?
でも、きっとその答えは自分の中でとっくに出ていて、僕は気付いたら遠くからサクヤを見守っていた。
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