スノウ2

☆リサーナ☆

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番外編 響夜side

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***

それから、親父の留守中に目を盗んでサクラに会いに行く日々が始まった。

親父が別の女との間に生ませた子供なのに、サクラは少しも嫌な表情かおをせずに僕が訪ねて来るのを嬉しそうにしてくれた。
その接し方は当然だが、僕の見た目に騙された"子供に対する扱い"そのもので、サクラは絵本を読んでくれたり、一緒に絵を描いたり、折り紙や編み物などをして遊んでくれた。

こんなの、ガキのする事ーー。

内心そう思いながらも、サクラと一緒に過ごす時間を僕は素直に楽しいと感じていた。


そして、そうやって一緒に時間を重ねていくうちに……。

「……お腹、大きくなったな」

僕が四つになる頃。最初会った時は目立たなかったサクラのお腹が、立ち上がったり座ったりする動作をする際に大変そうと感じる程に大きくなっていた。
僕がそう口にしたら、サクラは嬉しそうに微笑って言う。

「触ってみる?」

「……ああ」

サクラの問い掛けに答えて、僕はこの時初めて彼女の大きなお腹に触れた。
実は、僕はこれまで、お腹の子供コイツの存在を無視し続けてきたんだ。理由は、おそらく二つ。

一つは、実の子である腹の子コイツが生まれてしまったら、サクラは自分の事なんてどうでもよくなってしまう、と言う気持ちから……。
そしてもう一つは、腹の子コイツの父親が親父だからだった。

でも、暗殺を目論んだあの日の想いとは違う。
サクラが、親父の子を身籠っている、と言う事実が……複雑だったんだ。
僕がサクラに抱く感情は、母親を想う気持ち、とは明らかに違っていた。

サクラと一緒にずっと居たい。
そして、サクラをずっと笑顔にしてやりたいーー。

そう、思っていたんだ。

「あ!今動いた、分かる?
生まれたらたくさん遊んであげてね?お兄ちゃん!」

「……。ああ」

お兄ちゃんーー。

そう無邪気に微笑みながら言うサクラの言葉にも、僕は複雑な想いでいっぱいだった。
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