スノウ2

☆リサーナ☆

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第9章(5)雪side

9-5-4

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「……気まぐれだ」

「え?」

「今、親父からはお前に関する命令は受けてない。
……だから、気まぐれだよ」

だから、気まぐれだよーー。
その言葉が、「だから、安心しろ」って聞こえたのは、オレの気のせいなんだろうか?

そんな想いからまたじっと見つめてしまっていると、響夜きょうやはポケットから何かを取り出して……。オレの左右の耳の穴を塞ぐようにはめた。
それを着けたら、周りが少し静かになる。おそらく、耳栓のような物。

「やる」

「え?」

「音、聞こえ過ぎて疲れるだろ?」

「……っ」

その、響夜きょうやの言葉と行動に胸をジンッと打たれた。
大した意味はないのかも知れない。彼の言う通り、この一連の事はただの"気まぐれ"なのかも知れない。
でも、何だか響夜きょうやがすごく自分の事を分かってくれている気がして……。気が、緩んだ。

「てか、紫夕しゆうさんはどうしたんだよ?はぐれたのか?
まったくお前はグズ…………ーーっ、て、オイ!」

響夜きょうやがオレを見て慌てる。
オレが、急に泣き出したからだ。涙がボロボロ溢れて来て、拭っても拭っても止まらない。

「っ、たく……どうしたんだよ?
ケンカでもしたのか?紫夕しゆうさんに、泣かされたのか?」

別に響夜きょうやに話すつもりなんてなかった。
けど、響夜きょうやが頭をポンポンッて叩きながらそう聞いてくれるから、オレは首を横に振りながら、つい口を開く。

「ちがっ……、オレ……ッ、オレがーー……っ」

でも、溢れ出した涙が邪魔をして上手く言葉にならない。
必死に涙を止めようとしていると、その最中に響夜きょうやはクルッと背を向けて歩いて行ってしまった。

きっと呆れて、面倒臭いって思ったんだーー……。

立ち去ってしまった彼を見て、そう思った。
思い返せば、助けてもらったし、耳栓も貰ったのに一回もお礼も言っていない。
自分の事でいっぱいいっぱいで、そんな事にすら頭が回らなかった。
けど、そんな自分に嫌気が差しながら涙を拭い続けているとーー……。

「ーーオイ。コレ、持て」

!……っ、え?

再び聞こえた響夜きょうやの声。
ハッとして顔を上げると、目の前にあったのは水色と桃色のアイスクリーム。
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