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第9章(5)雪side
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しおりを挟む「こっちが優しく言ってやってりゃ、調子に乗りやがって!」
「どうやら、痛い目に遭いたいみてぇだな?」
「後悔しても、もう遅いぜーッ!!」
そして、男達は響夜の方に向かって来た。
男の一人はナイフを手にしている。これは、普通ならば慌てる状況だろう。
でも、オレは何故か安心していた。
大丈夫だ、ってーー……。
すると、溜め息を吐いた響夜が
「……後悔すんのは、そっちだけどな」
と、呟いた。
そこからは、また、あっという間だった。
響夜は少しも焦りも怯みもせず、男達の方を向くとその場から一歩も動かずに向かってくる相手を倒していく。
顔を左右に傾けたり、身を反ったり屈んだりして男達の攻撃を避け……。隙を見て蹴りや裏拳で反撃。
その、素早く鮮やかな身のこなしに、オレは思わず見惚れた。
魔器である鬼響を使わずとも瞬時に決着を着けるその圧倒的な強さに、目が逸らせなかった。そして……。
「ーー……終了」
響夜のその言葉と同時に男達は倒れて……動かなくなった。
静まり返る戦場。
呆然と見ていたオレは、こっちを向いた響夜と目が合った瞬間に、
「オイ、行く……」
「ーーすごい。カッコ良い……」
彼の言葉を遮って、そう言っていた。
本当に、心底そう思った。
以前は紫夕を傷付けられた怒りから攻撃に必死で、響夜の戦い方なんてちっとも気に留めていなかった。
けど、無駄な動きの一切ないスマートな彼の戦い方は、本当に素晴らしかったんだ。
「……。
……、……あ?」
オレの言葉が、予想外過ぎたんだろうな。
響夜は目を見開いて、口を半開きにして、暫く固まっていた。
けど、「チッ」と舌打ちした後に「バーカ!」って言いながら、響夜はオレにデコピンした。
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