スノウ2

☆リサーナ☆

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第9章(3)雪side

9-3-1

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人形みたいに可愛いな、って思ったーー。

それに、何よりも女の子らしい。
色白の肌に、細い指に綺麗な爪。太ってる、って訳じゃないのに、胸も程々に大きくて、お尻も小さいのに柔らかそうで……。オレとは、全然違った。

男のクセに色が白くて童顔で……。それなのに、手は剣ダコや手荒れでガサガサで、爪の形もガタガタ。痩せっぽっちで、胸なんて当然なければ、触って柔らかい、なんて感じる部分はないに等しいだろう。
女の子みたい、ってよく言われたけど、実際に見比べると全然違う。

オレは、中途半端だ。
男っぽくもなければ、女の子になれる訳でもない。
比べるまでもない。
誰の目から見ても、どちらが紫夕しゆうに相応しいか、なんて答えは出ていたーー……。

「久し振りだな、カレンちゃん!元気そうで良かったぜ」

「ありがとうございます。三月みづきさんも、お元気そうで何よりです」

「ははっ、カレンはな~三月みづきさんが来るのをずっと待ってたんだよ~?」

「!っ、ちょ、お父さん!」

「何だよ~?ホントの事だろ?
な、三月みづきさん!良かったら一回コイツとデートしてやってよ!」

紫夕しゆうとカレンさんが会話をしていたらそこに店主さんが加わって、そんな話が飛び交う。
好意を寄せてくれている可愛い女の子に、そのお父さんも良い人そう。
その光景を目にして、思わずにはいられない。

……この子となら、紫夕しゆうは普通の、幸せな未来を築ける。

三人を目の前にして広がるのは、自分では決してあり得ない眩しいばかりの世界だった。

オレがいなくなっても……。
ううん。オレが消えた方が、きっと紫夕しゆうは……、……。

そんな想いが浮かんだ。
オレはそっと繋いでいた手を解いて、ゆっくりと後ろに下がって、その場を去ろうと思った。
でも、……。

「あ~、わりぃ!俺、もう居るんだ。大事なやつ!」

ーー……っ?!

引きかけた身体を、そう言った紫夕しゆうにグッと引き寄せられる。
オレの肩を抱きながら、紫夕しゆうはそう言ってくれたんだ。
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