スノウ2

☆リサーナ☆

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第9章(2)雪side

9-2-2

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***

「……え?」

「今から一緒に町に行こうぜ!
そろそろ買い出しも行かなきゃいけねぇし、その……なんだ、っ…………。
と、とにかくさ!町に行こう!」

ソファーに座って膝上で寛ぐ紫雪しせつと触れ合っていたら、突然、車いじりから戻って来た紫夕しゆうに町へ行こうと言われた。
確かに、冷蔵庫にも食品棚にも食材は少なくなってきてたし、そろそろ買い出しは必要だと思う。
けど、なんだか様子が変だ。紫夕しゆう焦って、汗かいてて、顔が赤い……。
買い出し、って言ってるけど、明らかに何か別の用事で町に行きたそうなのがオレには分かった。

……行きたく、ないな。

「オレ、紫雪しせつと一緒にここで待ってちゃ駄目……かな?」

「!……へ?」

気分ものらないし、自分がいつ魔物化の症状が出てしまうか分からない不安もある。おまけに、何だかいつもとは違う紫夕しゆうの様子が気になったオレはやんわりと断わろうと尋ねた。
でも、その言葉に紫夕しゆうは更に焦ったように言う。

「な、なんでだよっ?」

「……だって、…………」

「っ、そんなのダメだ!俺の留守中にたちばな達が来たらどうすんだよっ?」

「……それは、…………」

そう言われてしまうと、返す言葉がない。
魔器マギである雪桜ゆきざくらが無き今、オレはただの男よりも非力で……。下手したら女性よりもか弱い存在。
何も言えなくて少し俯くと、優しく紫雪しせつを膝から降ろした紫夕しゆうがオレの手を取りソファーから立ち上がらせた。

「なっ?一緒に行こう!
大丈夫、人混みなんて怖くない。俺が一緒だ!
そうだ、服も買おうぜ!女の子みたいなのじゃなくて、ゆきが好きなやつ買ってやるから!」

「……うん」

断れなかったオレは、紫夕しゆうに手を引かれて仕方なく一緒に買い物に行く事にした。
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