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第9章(2)雪side
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しおりを挟む何が人としての感情や行動で、何処からが魔物としての本能なのか分からなくなってくる。
オレは、自分が分からないーー……。
そんな風に考え込んでる自分を紫夕に隠しながら、時間が過ぎていった。
表面上は、きっとオレ達は普通だった。
楽しく、平和に、仲良く生活していた。
……でも。
紫夕も、何となくオレとの未来がそんなに長くない事を察しているんじゃないか?って思う。
その証拠に、紫夕はあの途中で中断したエッチ以来、オレに必要以上に触れてこない。
抱き締めてくれる。キスしてくれる。
けど、それ以上を求めてくる事をしない。
「引っ越したら、毎日一緒に風呂だからな!」
守護神の寮で一緒に住んでいた時はそう言ってたのに……。この家に来てから、一度も誘われなければ、一緒に入った事もない。
ねぇ、何でーー……?
そんな事、聞けない。
紫夕の答えを聞くのが、反応を見るのが怖い。
もしも、「もう飽きた」とか言われたら?
嫌な表情や困った表情されたら?
……、……仕方ない、よね。
こんな傷だらけで痩せっぽっちな身体、見ても触っても、きっとつまらない。
もしかしたら、オレが眠っている間に他に良い女性と出会って、"間違いだった"って目が覚めたかも知れない。
……
…………それなら。
もし、そうなら…………。紫夕から別れの言葉を聞かされる前に、オレは自分から消えたい。
……
…………。
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