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第8章(2)雪side
8-2-5
しおりを挟む心と身体が、夢から醒めたように一瞬で冷静になったーー……。
さっきまでオレを求めてくれていた紫夕がいない事が、濡れた瞳で分かる。
そして、今、紫夕の心の中に居るのが自分ではない事も……、……。
今オレの目の前に居る紫夕は、離れ離れになっていた間の、"オレの知らない紫夕"だった。
「っ、紫夕……」
「!っ、……わりぃ」
名前を呼んで伸ばしかけた手が、逸らされた視線と謝罪の言葉に途中で止まる。
「風呂、入れ。今、準備してくるから……」
そう言ってオレから離れてベットから立ち上がり、顔を合わせてくれないまま去って行く紫夕に……オレは何も出来なかった。
何も知らないオレには、今の紫夕に寄り添う事が出来なかったんだ。
……
…………。
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