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第8章(2)雪side
8-2-1
しおりを挟むオレは知らなかったんだ。
紫夕がオレの事を目覚めさせてくれる為に、どれだけ大変で、辛い想いをして、犠牲を払ってくれていたのかを……、……。
再び眠りに落ちて、次に目を覚ましたのはまだ完全に日が昇る前の明け方だった。
目を開けた時に最初に映った天井は見慣れないもので、オレが暮らしていた守護神の寮じゃない事はすぐに分かった。
……ここ、何処なんだろう?
そう思って一瞬過ぎる不安。
でも隣から聞き慣れた寝息が聞こえてきて、顔を向けると、同じベットの隣で眠っていたのは紫夕。
ずっと、傍に居てくれたんだーー。
その寝顔を見たら、それだけでホッとして笑みが溢れた。紫夕が一緒ならば、たとえ地獄でもオレには幸せの地になるのだから……。
意識を手放す前に握ってくれた手も、今もずっと繋がれたままだ。
あったかいなぁ……。
寝顔を見つめているだけでトクンッと鼓動が弾み、胸が甘く痺れる。
繋がれた手から伝わってくる温もりだけでは足りなくて、もっと触れたいと欲が出た。
……身体、動かせる。
眠る前には重く感じて言う事をきいてくれなかった身体が、今はもう動かせそうだ。
オレは二人の間にあった微妙な隙間を詰めると、紫夕の腕の中に入り込んだ。
っ……紫夕。
あっという間に、幸せ一色だった。
大好きな温もりと匂いに包まれて、これ以上ない幸せに涙が滲む。
そしてそれと同時に、自分の中でカチッとスイッチが入ったかのように、もっともっとと紫夕を求め出す。
紫夕っ……。
心も身体も、紫夕を愛してる、って叫んでいて、自分でもどうしていいのか分からない程だった。
服越しの体温が伝わってくるだけで身体が熱くなり、息をして匂いを嗅ぐ度に脳が痺れ、胸が締め付けられる。
っ、どうしよう……。
イッ……ちゃいそうっ……。
抑え切れない想いで下腹部が疼き出し、熱を帯びて、紫夕を求めて濡れてくるのが分かった。
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