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第7章(3)紫夕side
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しおりを挟む『……ソノコヲ、タノンダ』
その言葉を最期に、スノーフォールもおそらく天へと還っていったのだろう。
ヒュゥ……ッと、冷たい風が野花を舞い上がらせて、共に空へ昇って行った。
その子を、頼んだーー。
懐いている様子を見て、スノーフォールが俺に一族の血を引くサクヤを託してくれたのだ、と思った。
「っ……ああ。
今度こそ、絶対に護るッ」
そう答えて、俺はサクヤの顔を見つめた。
息はしているし身体は暖かいが、血をたくさん失ってしまったからか顔色が良くない。
服を捲って確認すると、傷は残ってしまっているが血は完全に止まっている。
とりあえず安静に休ませて、目が覚めたら栄養のある物を食べさせてやるのが1番だと思った。
「……家に帰ろうな、サクヤ」
そっと頭を撫でて立ち上がると、地に刺さっていた残月を回収して、俺はサクヤと共に自宅へと帰った。
……
…………。
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