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第7週(2)紫夕side
7-2-1
しおりを挟む粉雪が舞う原っぱ。
身体を槍で貫かれ、力無く俯く愛おしい人。
そして、とても人を刺したとは思えない笑みを浮かべるかつての親友。
ポタポタと滴る血の赤が、異様に濃くて印象に残った。
その、流れ出ている血を見ていたら、まるでそれが自分の物のように思えて……。力が抜けた俺は原っぱに両膝を着いた。
まず感じたのは絶望。
愛する人を再び失った喪失感だった。
ーー……だが。
「……、……。……ざ……けんな」
次にすぐ湧き上がってきたのは、怒り。
「っ……風磨。
お前……、な……んで…………ッ」
空っぽにされた心の奥底がヒビ割れて、まるでそこからマグマが湧くようにあっという間に沸騰した熱い想いだった。
どんな反応や言葉が欲しかったのか分からない。
「思わずやってしまった」と困惑した表情が欲しかった訳でも。「ごめん」と、涙を流しながら謝罪されたかった訳でも……。
きっと俺は、風磨にどんな反応や言葉を返されても一緒だった。
でも、遠目で見ても分かる程に笑った風磨を見た瞬間。まるで、俺も一瞬何かに憑かれたかのように自然と身体が動いていた。
立ち上がり、地に刺さっていた残月を手に取り、狂戦士のように風磨に斬りかかろうとした。けどーー……。
「ダメ……ッ!!!!!」
残月の柄に手を触れた瞬間、そんな声が俺の心に響いた。
そして、地に刺さった残月はそこからビクともしないで……。まるで、俺を引き留めているかのように、抜けない。
更に、柄を握る感触に違和感を感じて、俺は完全に立ち止まった。
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でも、俺には感じたんだ。
残月の柄を握っている筈なのに、その手に感じるのはサクヤと繋いだ手の感触。
優しいその温もりが、俺の心の闇を払って冷静にさせてくれた。
そして、それと同時に風磨の方にも異変が起きていた。
「!!っ、……何故だッ?!」
その声に俺が再び視線を移すと、目に映るのは焦った表情の風磨。
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