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第7章(1)紫夕side
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しおりを挟むバキィッ……!!!!!
サクヤが風磨の身体に一撃を当てたと同時に、今までの攻撃中には聞いた事がなかった、何かが壊れるような鈍い音が鳴った。
「っ?……なんだ?」
そして、その音に風磨が反応した直後。
パキィイイイーー……ンッ!!!!!
氷が割れるような音が辺りに響き渡った。
その時、俺と風磨はサクヤが繰り返していた攻撃の意味をようやく知る。
氷が割れる音と同時に、砕け散ったのは風磨が身に纏っていた魔具。
サクヤが繰り返していた攻撃は、魔具を破壊する為のものだったのだ。
おそらく、不思議な力を帯びた手刀や蹴りを打ち込む事で徐々に魔具を凍らせ、ヒビ割れさせ……サクヤは見事粉々に破壊した。
「っ、……すげぇ」
思うだけでは留まらず、まさに思わずそう声が漏れた。
魔具を破壊ーー。
装備した事がない俺ではあくまでの予想になるが、魔器同様、魔器だってちょっとやそっとの衝撃で壊れたりはしない筈だ。
魔物に対抗すべき開発された防具が、簡単に破壊されては話にならない。破壊される時は魔物と相討ちになる程の衝撃……。つまり、相手だって相当の痛手を負う筈だ。
けど、サクヤはーー……。
「オマエヲ、ユルサナイ……」
風磨から少し離れた場所にフワリッと舞い降りると、呟くように言った。
その様子は息一つ乱していなければ、手刀を打ち込んでいたその手にも、蹴りを入れていたその脚にも傷一つ負っていない。無傷だ。
これが、橘が造り出した人型魔物の力なのかーー……?
そう思いながらも、俺には何処か違和感があった。
オマエヲ、ユルサナイーー。
サクヤは、風磨にさっきからずっと「許さない」、そう言っている。
サクヤや、もしくは雪が、風磨にあそこまで怒る理由が俺には思い当たらなかったんだ。
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