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第5章(3)紫夕side
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しおりを挟む二人の秘密。内緒の話。
俺だってついこの前やっとそんな仲になれたのに、俺より一緒に居る時間が短い朝日が俺と同じ仲良し度だなんて明らかにおかしい!
これは絶対に朝日がサクヤに何か賄賂を贈っているに違いないと思った俺は、プライドなんて捨てて詰め寄った。
しかし、そんな俺を見て朝日は「クスクス」と笑うと、穏やかな口調で言う。
「本当に好きなんですね」
「あ?」
「サク君の事が、本当に好きなんですね」
「っ、~~~……な、んだよっ」
好き、とか。改めて言葉にされたり、尋ねられると正直テレる。
その不意を突かれた質問のせいで嫉妬よりもすっかり恥ずかしさの熱の方が高まり、黙り込んだ俺に朝日は更に尋ねてきた。
「それは……。やはり、サク君が貴方の恋人と同一人物だから、ですか?」
「ーー……は?」
朝日の次の質問に、今度は目を覚まされるかのように俺は冷静になっていった。
朝日と視線を合わせるとその瞳はとても真剣で、俺も、つい真面目になって口を開く。
「……そりゃ、最初のキッカケは、「そうじゃない」って、否定は出来ねぇよ。……けど、…………」
俺は、雪がサクヤとして目覚めてから共に過ごしてきた日々を思い返した。
最初に「誰?」って言われた時は、忘れられたショックもあった。でも、雪はサクヤで、サクヤは雪なんだって受け入れて……。目覚めてくれた事に感謝して、俺は一緒に居る事を決めた。
それでも最初の頃は、きっといつか記憶が戻って、"サクヤが雪に戻ってくれる事"を願っていた自分が居た。
俺と生活して、一緒に居る時間が増えれば思い出してくれる、って期待してた。……けど。
「今は、俺はアイツがサクヤのままでも良いと思ってる」
俺は、朝日を真っ直ぐに見て、そう言っていた。
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