スノウ2

☆リサーナ☆

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第5章(3)紫夕side

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二人の秘密。内緒の話。
俺だってついこの前やっとそんな仲になれたのに、俺より一緒に居る時間が短い朝日あさひが俺と同じ仲良し度だなんて明らかにおかしい!
これは絶対に朝日コイツがサクヤに何か賄賂ワイロを贈っているに違いないと思った俺は、プライドなんて捨てて詰め寄った。
しかし、そんな俺を見て朝日あさひは「クスクス」と笑うと、穏やかな口調で言う。

「本当に好きなんですね」

「あ?」

サク君あの子の事が、本当に好きなんですね」

「っ、~~~……な、んだよっ」

好き、とか。改めて言葉にされたり、尋ねられると正直テレる。
その不意を突かれた質問のせいで嫉妬よりもすっかり恥ずかしさの熱の方が高まり、黙り込んだ俺に朝日あさひは更に尋ねてきた。

「それは……。やはり、サク君あの子が貴方の恋人と同一人物だから、ですか?」

「ーー……は?」

朝日あさひの次の質問に、今度は目を覚まされるかのように俺は冷静になっていった。
朝日あさひと視線を合わせるとその瞳はとても真剣で、俺も、つい真面目になって口を開く。

「……そりゃ、最初のキッカケは、「そうじゃない」って、否定は出来ねぇよ。……けど、…………」

俺は、ゆきがサクヤとして目覚めてから共に過ごしてきた日々を思い返した。
最初に「誰?」って言われた時は、忘れられたショックもあった。でも、ゆきはサクヤで、サクヤはゆきなんだって受け入れて……。目覚めてくれた事に感謝して、俺は一緒に居る事を決めた。

それでも最初の頃は、きっといつか記憶が戻って、"サクヤがゆきに戻ってくれる事"を願っていた自分が居た。
俺と生活して、一緒に居る時間が増えれば思い出してくれる、って期待してた。……けど。

「今は、俺はアイツがサクヤのままでも良いと思ってる」

俺は、朝日あさひを真っ直ぐに見て、そう言っていた。
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