スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
111 / 589
第5章(3)紫夕side

5-3-2

しおりを挟む
***

全く、子供とは残酷な生き物だーー。

その事件はもうすぐ検診が終わるだろうと思い気を遣った俺がお茶を淹れて、台所からサクヤと朝日あさひの居る部屋に戻った時の事だった。

「サクのしょうらいのゆめはねー……」

「ーー……へぇ。素敵な夢だね」

「うんっ!!」

サクヤが朝日あさひの耳元で何かを言っていて、その後に見せたのは照れたようなめちゃくちゃ可愛い笑顔。
なんと、二人が内緒話をしていたのだ。
一瞬、サクヤの可愛い笑顔の方に興味を持っていかされるが……。俺はすぐにハッとして、二人の間に割り込む。

「なんだなんだ、サクヤの将来の夢の話か?俺にも聞かせてくれよ~?」

朝日あさひとのやり取りに内心は嫉妬しながらも、俺は「いかんいかん、大人気ないな」と気持ちを抑えてサクヤに寄り添うようにして尋ねた。

朝日あさひに話していた事を、俺に教えてくれないなんて絶対にないーー。

そう自信があった俺は、てっきりすんなりと「いいよ~」って教えてもらえるもんだと思ってた。それなのに……。

「だめ!」

「!っ、へ?」

「あさひせんせーとのヒミツなの!しゆーにはナイショ~!」

そう言って「えへへ」と微笑ったサクヤは恐竜のぬいぐるみを抱き締めて、紫雪しせつの方へ走って行ってしまった。
可愛い笑顔で黙らせて、何という無垢な奴だ。

「……」

「……。あ、お茶、頂きます」

その場に残された、俺と朝日あさひの二人。
暫しの沈黙の後、気遣うように声を掛けてお茶をすする朝日あさひに俺は問う。

「……どんな手を使った?」

「はい?」

「サクヤにどんな手を使って手懐てなずけてんだ?」

「て、手懐てなずける、って……。特に何も」

「嘘つけ!!何もしてねぇのにサクヤがあんなにお前になつく訳ないだろ~っ?!」

本気で怒っている訳ではない。悔しいのだ。
そう、醜いただの嫉妬だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

すべてはあなたを守るため

高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

愛人をつくればと夫に言われたので。

まめまめ
恋愛
 "氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。  初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。  仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。  傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。 「君も愛人をつくればいい。」  …ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!  あなたのことなんてちっとも愛しておりません!  横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。 ※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

妖(あや)し瞳の、艶姿

冴月希衣@商業BL販売中
BL
平安時代はお好きですか? 【天然ドジっ子×ツンデレ毒舌美形】帝に仕える六位蔵人、源建と藤原光成のほんのりホラーなコメディBL。 時は、平安時代。帝のおわす内裏に、怪異が頻発。蔵人所(くろうどどころ)のエリート、源建(みなもとのたける)と藤原光成(ふじわらのみつなり)の周囲にも妖しい影が見え隠れして――? 憎めない天然ドジっ子と、ツンデレが酷い毒舌美形。無自覚で一途なふたりに、果たして恋の転機は訪れるのか? 平安BL絵巻『萌ゆる想いを、この花に』続編 ☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆ 本作は、奈倉まゆみさんのコミック(https://www.alphapolis.co.jp/manga/901541888/798261305)とのコラボ作品です。 小説単体(光成視点)でも楽しめますが、建視点のコミックは最高に面白いので、是非、合わせてお楽しみくださいませ。 表紙&挿絵も奈倉まゆみさま作画。 ◆本文・画像の無断転載禁止◆ No reproduction or republication without written permission.

処理中です...