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第5章(1)紫夕side
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……
…………そして。
町に着くと俺はサクヤを背中から降ろして、手を繋いで歩き出した。
指と指を絡めて繋ぐ''恋人繋ぎ"に、サクヤは不思議そうだったが「大好きな人とはこうやって繋ぐんだ」って教えたら、きっと深い意味には捉えていないが納得してくれた。
人の多さとその町並みにキョロキョロするサクヤに、俺は尋ねる。
「サクヤは好きな食べ物なんだ?」
「たべものー?
んとね、りんごと、バナナと~イチゴ!」
「ははっ、果物ばっかじゃん」
「あ、でもね~イチゴはたまにしかたべられないんだよ!たかいから、かえてもまいにち3こしかたべちゃダメなの」
「……そっか」
苺、子供の時から好きだったんだ、って初めて知った。
それに、「たまにしか食べられない」「高いから毎日3個しか食べちゃダメ」って言葉は、聞いてて胸が切なくなる。
雪は俺と知り合った時、食べ物なのに食べ物だと認識していない物がたくさんあって、いつも様子を伺ってからしか口にしなかった。
それらの事から、生まれてから研究所で育ってた時も、サクラさんと逃亡生活をしていた時も、孤児になって引き取られた時も……。食事さえも、満足に出来ていなかったんだと分かる。
「あ!あとねー、うどんすきー!」
「うどん、か。
それなら俺でも作れるかもな。後で材料買って帰るか!」
「わーい!うどん~!」
「でも、その前に!サクヤ、もっと美味しいもん食おうぜ!」
「?……もっと、おいしいもの?」
もっともっと、美味しい物を食わせてやりたいーー。
そんな想いから、俺はサクヤを連れてある店の前に連れて行った。そこは、甘い香りが漂うクレープが売っているお店。
「ほいっ、サクヤ!食ってみな?」
基本の苺クレープに、生クリームとカスタードクリームと苺を増し増し、更にチョコソースをトッピング追加して注文した特製クレープ。ガラス越しの調理場を覗き、出来上がる様子をじーっと見つめていたサクヤに差し出す。
…………そして。
町に着くと俺はサクヤを背中から降ろして、手を繋いで歩き出した。
指と指を絡めて繋ぐ''恋人繋ぎ"に、サクヤは不思議そうだったが「大好きな人とはこうやって繋ぐんだ」って教えたら、きっと深い意味には捉えていないが納得してくれた。
人の多さとその町並みにキョロキョロするサクヤに、俺は尋ねる。
「サクヤは好きな食べ物なんだ?」
「たべものー?
んとね、りんごと、バナナと~イチゴ!」
「ははっ、果物ばっかじゃん」
「あ、でもね~イチゴはたまにしかたべられないんだよ!たかいから、かえてもまいにち3こしかたべちゃダメなの」
「……そっか」
苺、子供の時から好きだったんだ、って初めて知った。
それに、「たまにしか食べられない」「高いから毎日3個しか食べちゃダメ」って言葉は、聞いてて胸が切なくなる。
雪は俺と知り合った時、食べ物なのに食べ物だと認識していない物がたくさんあって、いつも様子を伺ってからしか口にしなかった。
それらの事から、生まれてから研究所で育ってた時も、サクラさんと逃亡生活をしていた時も、孤児になって引き取られた時も……。食事さえも、満足に出来ていなかったんだと分かる。
「あ!あとねー、うどんすきー!」
「うどん、か。
それなら俺でも作れるかもな。後で材料買って帰るか!」
「わーい!うどん~!」
「でも、その前に!サクヤ、もっと美味しいもん食おうぜ!」
「?……もっと、おいしいもの?」
もっともっと、美味しい物を食わせてやりたいーー。
そんな想いから、俺はサクヤを連れてある店の前に連れて行った。そこは、甘い香りが漂うクレープが売っているお店。
「ほいっ、サクヤ!食ってみな?」
基本の苺クレープに、生クリームとカスタードクリームと苺を増し増し、更にチョコソースをトッピング追加して注文した特製クレープ。ガラス越しの調理場を覗き、出来上がる様子をじーっと見つめていたサクヤに差し出す。
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