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第4章(1)紫夕side
4-1-4
しおりを挟むホントに不思議だなーー……。
ついさっきまで、こんな気持ちになるなんて俺には全く想像出来なかったんだ。
それなのに、こんなにあっという間に……。愛おしい人が居るだけで、俺は嬉しくて幸せになれるんだ。
それは、また俺に春が来た、って日になった。
……
…………三日後。
紫雪を一度自宅に連れ帰った俺が再び橘の研究所を訪れて病院施設がある三階へ向かうと、何やらザワザワと騒がしい。
気になりながらもサクヤの部屋に行こうと廊下の角を曲がろうとするとーー……。
「わっ……!」
「!っ、おわ……!サ、サクヤ?」
「!っ、あ、しゆー!」
ボフッと、自分に何かが突っ込んで来たと思ったらサクヤ。
驚く俺にサクヤも最初驚いていたが、ぶつかった相手が俺だと分かると見上げながらパァッと嬉しそうに微笑ってくれた。
っ~~~、きょ、今日も可愛いッスね。
その笑顔にやられた俺は、もはや響夜の口調が移っている事にさえ気付かない程に壊れていた。
けど、サクヤは「いたかっ?」「こっちかっ?」ってまたザワザワした声がこっちに近付いてくると表情を変えて、俺の背後に回って慌てながら言った。
「かくして!」
「!……へ?」
「サク、いないことにして!」
……あ、なるほど。
その言葉でザワザワしている研究者や医者達が捜している相手を察した俺は、サクヤを言われた通りに自分と廊下に置いてある植木の間に隠してやり、その場をやり過ごす。
暫くして、白衣を着た奴らがバタバタと目の前を去って行くと、サクヤが小さな声で問い掛けてくる。
「……、……もういった?」
「おう、もう行ったぞ」
問い掛けにそう答えるが、サクヤは蹲ったままだった。俺は屈んで目線を合わせると、サクヤの額をツンッとしながら話す。
「お前、検査から逃げたな?」
「!っ……う、ん」
「いいのか?怒られるぞ?」
「……だって、…………」
俺の質問にしゅんっと表情を曇らせるサクヤ。
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