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第3章(3)紫夕side
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しおりを挟む「今はこんな事してる場合じゃねぇだろッ?!!
一刻も早く本部に戻るッ!!来ないなら置いて行くぞッ……!!」
そう言ったアントニーは海斗から離れ、杏華の元に戻ると抱き上げてすぐさま駆け出した。茶々もすぐにその後を追って駆け出す。
そして、海斗はーー……。
「……許さない、っ。
ボクは絶対に、あんた達を許さないッ……!」
瞬海を握り締めながら、涙目で俺達を睨み付けて……。その場を駆け出して行った。
……
…………信じられない事が短時間に。
一度に起こり過ぎて、整理がつかない。
そんな俺をよそに、響夜と風磨が会話を始める。
「激しかったッスね。いいんですか?妹さん」
「大丈夫だよ。アントニーも茶々もいざと言う時の処置や対処は分かっている。
それで間に合わないなら杏華の生命力がなかったか、奴等の頑張りが足りなかった。それだけの事さ」
ーー……それだけの、事?
さっきまでの一連の事件が、それだけの事?
信じられない言葉に、俺は思わず風磨を見た。すると、俺と目の合った風磨はまた笑いながら言う。
「フッ、なんて表情してるんだ?紫夕。
まだまだ仕事は終わってないぞ?むしろ、これからじゃないか」
これからーー……?
この時点で、もう俺はいっぱいいっぱいだった。斬月を握り締めて、この場に立っている事でさえ、今にも脚が震えて倒れそうな位だった。
でも、風磨は俺に歩み寄って来たと思ったら横を通り過ぎて背後に行き、言葉を続ける。
「龍の涙を手に入れなきゃいけないんだろう?。"その為に役立ちそうなモノ"を拾ってきたんだ」
それは、笑いを含んだ、誰が聞いても何か悪巧みしている声。悪い予感がしながらも、俺はゆっくりと振り返った。
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