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第3章(3)紫夕side
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しおりを挟むガシャンッ!!と地面に持っていた瞬海を落とした海斗が、他には目もくれず横たわる杏華に駆けて行った。
俺は、一歩も動けないーー。
風磨の居る場所を境に、向こう側には行けない。
これがこの数ヶ月、自分が行ってきた行動が生んだ結果だった。
俺はもう、"こっち側"の人間だからーー……。
「っ……な、んで……杏華さんが?」
海斗の身体がどんどん震えていき、杏華の傍で力無く両膝を着いて座り込む。
「っ、何で……なん、でッ…………。
っーー……何でだよぉーーーーーッ!!!」
悲しみの中に怒りが入り混じった叫び声が、辺り一面に響き渡った。
俺にはその姿を見ている事しか、出来ない。以前のように、震えているその肩に触れてやる事は、もう出来ない。
「……、……。誰が、やった」
地面に拳を叩き付けた海斗が、ボソッと呟いて……。フラつきながらも、ゆっくり立ち上がった。
そして、さっき地面に落とした瞬海の元へゆっくり歩いて行き、拾い上げると顔を上げた。その涙で濡れた瞳は、怒りを通り越して光のない、憎しみが溢れたもの。
「……許さない」
海斗が構えて、瞬海の銃口がこちらに向けられる。
「っ……許さないッ、お前らみんなーー……」
「ーーやめろ海斗ッ!!!」
止めに入ったアントニーの手によって、下に向いた銃口から放たれた光の弾はドカンッ!!と大きな爆発音を立てて地面に撃ち込まれた。
暴れる海斗。それを押さえ付け止めようとするアントニー。二人が目の前で激しく揉み合う。
「っ、放せッ!!放せよぉッ……!!」
「バカヤローッ!!落ち着けッ!!!」
アントニーはパァンッ!!と思いっきり平手打ちを喰らわせると、海斗の両肩をグッと強く掴み言い聞かせるように叫ぶ。
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