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第3章(2)紫夕side
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しおりを挟む「!っ、来るぞ響夜ッ!!跳び降りる準備だッ……!!!」
崖っぷちに移動して、今度はスノーフォールから片時も目を離さず見つめる。
すると、力を溜めていたスノーフォールが咆哮を放つ前にーー……。
ドッ!!!
ッカアァァァーーーンッ……!!!!!
死角から放たれた激しい光の弾に撃たれて、「ギャオォォォーーーンッ!!!!!」と叫び声を上げて体勢を崩した。
その光の弾は、杏華達とは別行動していた海斗が、ライトボウガンの魔器ー瞬海ーの力を最大限に溜めて放った強力な一撃。それが確実にスノーフォールを捉え、大ダメージを与えたのだ。
ビビりで上がり症だった海斗がたった一人で行動し、並みの集中力では絶対に放てない程の力を溜めた。
そして、杏華は海斗なら出来る、と信じ、その作戦を考え、与えた。
アントニーと茶々はその作戦を了解し、海斗が溜めるまでの時間を稼いで支えた。
それは最高のチームワークが生んだ、互いを信じる力の結晶とも言える素晴らしい一撃だった。
……それなのに。
俺が今からする行動は、そんなアイツ等の努力を踏み躙るものとなるだろうーー。
「っ、響夜ッ……!!」
「了解ッス!!」
大きな衝撃を受けたスノーフォールは平衡感覚を失い、徐々に高度を落として地面に向かって行く。俺と響夜はタイミングを見極めて崖から跳び降りると、そんなスノーフォールの背中に飛び移った。
響夜は素早くスノーフォールの身体に鬼響を突き刺し、足を乗せるホールドを作ると、その後持っていたワイヤーロープをスノーフォールの口に通し、まるで馬にハミを噛ませるようにしてグッと引き寄せて自由を奪う。
その間、僅か数秒。瞬時にその行動を行える人間離れした動きは、さすが魔物の血を受け継いでいると言えるだろう。
「紫夕さん!OKッス!!」
「ッ、ああ!!」
そんな響夜の動きに圧巻させられて、自らの役目を忘れてはいけない。
俺は前回落とし損ねたスノーフォールの左翼の付け根部分の傷を見付けると、ずっと斬月に注いでいた力を解放してその傷目掛けて溜め斬りを放った。
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