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第3章(1)紫夕side
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しおりを挟む思えば風磨とは共に隊長になってから別の任務ばかりだったし、守護神が隊を作る前の任務でも基本一匹狼で戦う風磨とは共闘した事がほとんどなかった。
そんな彼とこうやって一緒に行動してみると、長年の付き合いの親友と言えども合わない事もあるのだ、と実感する。
仕方ねぇ、ここは信じるしかねぇなーー……。
「分かった。
おそらく杏華達はあと三十分もしたら作戦地点に移動するだろう。俺達も動けるよう準備しよう」
「了解ッス」
杏華達に遅れを取ってはいけないーー。
そんな思いから俺は響夜と準備を整え、杏華達が動き出すその時を待った。
……
…………すると。予想通り、約三十分後。
「お、紫夕さんの言う通り、動き出しましたね」
「移動先はおそらく、少し先にある足場の良い平原だ。俺達は別ルートからその場所が見下ろせる場所まで行くぞ」
杏華達の移動に合わせて、俺と響夜は動きを常に観察出来るよう相手より高い場所から見張るようにして移動を始める。俺達の目標地点は、杏華達がスノーフォールの討伐を始める平原が見下ろせる崖上だ。
本当はこんな戦法は取りたくねぇが、迅速かつ確実にスノーフォールを狩る為だーー。
自分にそう言い聞かせて、目的地の崖上まで辿り着いた俺達はここで暫しの間高みの見物。
茂みの中を抜けて、一時期姿が見えなくなっていた杏華達が平原に姿を現すその時。平原に居たのは杏華と、アントニーと、茶々の三人。
「へぇ、これまた紫夕さんの読み通りだ。さすが、ッスね」
「……」
響夜の言葉に、俺は口元にフッと微笑を浮かべた。
その笑みの意味は二つ。一つは、読みが当たったから。もう一つは、この光景を見て海斗の成長を知る事が出来たからだ。
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