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第3章(1)紫夕side
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しおりを挟む「……、……。
暫く見ねぇうちに、また顔付きが変わってたな」
テントの中で目を覚ました俺は、昨日見かけた海斗の横顔を思い出してそう呟いた。
夢で見た海斗は16歳の頃だったから尚更だろう。今の、現実での海斗は出会ってから四年過ぎて二十歳になった。
雪と一緒で童顔な分、キッと真面目な表情すると余計に、一気に成長して見えんだよな……。
海斗が入隊して来てから毎年毎年、少しずつだけど育っていくその成長を見るのも隊長職の楽しみの一つだった。
どんなに辛い事があっても、隊長である事に自信を失くしかけた時も、夜遅くまで訓練施設で自主練する海斗の姿を見たら……。「俺も、負けてられねぇ」って、何度も何度も、思わせてもらった。……けど。
「……。
次会ったら、きっとそれが最後だな」
顔を合わせたら、もう次はないーー。
寝袋から出た俺は両手で自分の両頬をパァン!っと叩くと、顔を洗おうとテントの外に出た。
まだ朝陽が完全に昇り切る前の早朝。
すぐ側の川の水で俺が顔を洗っていると、休んでいる間見張り番をしてくれていた響夜が歩み寄り声を掛けて来た。
「おはよ~ございます、紫夕さん。眠れました?」
「ああ、見張りご苦労さん。何か動きあったか?」
タオルで顔を拭きながら問い掛けると響夜は首を横に振り、俺達がいる場所よりも下流を休憩場にしている杏華達を見つめながら答える。
「いえ、特に何も。夜は守護神の連中も身体を休める事に集中したっぽいッスね」
「ま、そうだろうな。スノーフォール程の大型魔物相手に万全の状態で挑まない、なんてバカな事はしない。おまけに夜は魔物達のが有利だからな」
「第1部隊の新隊長、杏華さん、でしたっけ?あの女性綺麗なだけじゃなくて、聡明ッスよね~」
「……ああ」
綺麗で聡明。
響夜の言葉に、俺は素直に頷いた。
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