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第2章(2)紫夕side
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スノーフォールが毎回姿を表すのは山岳地帯。そのふもとまでは、橘が用意してくれたワゴン車で向かう事になった。
運転手の隣の助手席に響夜。後部座席には、俺と風磨。
俺が風磨と顔を合わせるのは、雪の母親であるサクラさんが遺したSDカードのパスワードを解除してもらった時以来。
あのSDカードによって、橘が守護神の研究者として働く裏で、様々な悪事や企みを持っている事が判明し……。その中で、サクラさんが橘の手によって造りだされた人型魔物である事。そして雪が、サクラさんと橘の息子である事など、様々な秘密が分かった。
風磨は、どこまで知ってんだーー?
解除したSDカードを渡された際は「中身を見ていない」と言っていたが、さっき「俺に力を貸す」と言った風磨はある程度の状況を理解しているようだった。
「絶対に雪君を救おう」
あの台詞は、俺がスノーフォールを討伐したい理由が分からないと言えない言葉だーー。
色々あり過ぎて、話したいものの上手く言葉が出て来ない俺が横目で何度か様子を伺うようにチラチラと見ていると、風磨が突然「フフッ」と笑った。
「まずは、僕が何故ここに居るのか答えようか?」
「!っ、……ああ」
質問したかった事の一つを言い当てられて、思わずドキッとした。
けれど、その後に続く風磨の言葉に、俺は呆気に取られて緊張を解される。
「お前と雪君の力になりたかったんだ」
「!……へ?」
穏やかな微笑みを浮かべながらそう言われて、思わず気の抜けた声が出てしまった。そんな俺を見て風磨は「ハハッ」と笑うと、言葉を続ける。
「実はね、僕にも出来たんだ。大切な人が」
「っ、それって……」
「だから、紫夕の気持ちが分かる、って言ったらいいのかな?雪君を救いたい、って思ったんだ」
風磨に、大切な人ーー。
それは、付き合いの長い彼から聞く初めての言葉だった。
スノーフォールが毎回姿を表すのは山岳地帯。そのふもとまでは、橘が用意してくれたワゴン車で向かう事になった。
運転手の隣の助手席に響夜。後部座席には、俺と風磨。
俺が風磨と顔を合わせるのは、雪の母親であるサクラさんが遺したSDカードのパスワードを解除してもらった時以来。
あのSDカードによって、橘が守護神の研究者として働く裏で、様々な悪事や企みを持っている事が判明し……。その中で、サクラさんが橘の手によって造りだされた人型魔物である事。そして雪が、サクラさんと橘の息子である事など、様々な秘密が分かった。
風磨は、どこまで知ってんだーー?
解除したSDカードを渡された際は「中身を見ていない」と言っていたが、さっき「俺に力を貸す」と言った風磨はある程度の状況を理解しているようだった。
「絶対に雪君を救おう」
あの台詞は、俺がスノーフォールを討伐したい理由が分からないと言えない言葉だーー。
色々あり過ぎて、話したいものの上手く言葉が出て来ない俺が横目で何度か様子を伺うようにチラチラと見ていると、風磨が突然「フフッ」と笑った。
「まずは、僕が何故ここに居るのか答えようか?」
「!っ、……ああ」
質問したかった事の一つを言い当てられて、思わずドキッとした。
けれど、その後に続く風磨の言葉に、俺は呆気に取られて緊張を解される。
「お前と雪君の力になりたかったんだ」
「!……へ?」
穏やかな微笑みを浮かべながらそう言われて、思わず気の抜けた声が出てしまった。そんな俺を見て風磨は「ハハッ」と笑うと、言葉を続ける。
「実はね、僕にも出来たんだ。大切な人が」
「っ、それって……」
「だから、紫夕の気持ちが分かる、って言ったらいいのかな?雪君を救いたい、って思ったんだ」
風磨に、大切な人ーー。
それは、付き合いの長い彼から聞く初めての言葉だった。
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