46 / 589
第2章(2)紫夕side
2-2-2
しおりを挟むつまり、魔器が扱え、所有している守護神が俺に協力する事はその人物も共犯となってしまう。
それなのに、そんな俺に手を貸す人物なんていないと思った。
けど、そんな俺の背後から声がする。
「僕が力を貸しますよ、紫夕さん」
「!……響夜」
その声に目を向けると、ずっと壁際でもたれるようにして話を聞いていた響夜が歩み寄って来た。
「以前ご一緒した時は、お役に立てずに終わりましたからね。
安心して下さい、今回はしっかり戦わせていただきますよ。紫夕さんとではなく、ちゃんと魔物とね?」
"スノーフォールと"。
そう語尾を強調させて、響夜がニッコリと笑った。
響夜とはかつて俺が守護神の部隊長だった際、ある討伐任務で一緒だった事がある。が、その時は父親の橘の命で邪魔をされ、俺は危うい目に遭った記憶があった。
今回だって分からねぇ。
俺を今回の討伐で消して、雪を取り戻そう、って言う橘の思惑かも知れないーー……。
その思いが、考えのほとんどを支配していた。
でも、一人でスノーフォールを討伐する事に限界を感じている、と言うのも否定出来ない事実だった。
おまけに、前回スノーフォールにやられた右腕の傷が治り切っていなくて……。俺は響夜の「手を貸してくれる」と言う事を素直に受け入れる事も出来ないが、拒む事も出来ずに居た。
すると、迷う俺の背中を押すように、"もう一人の協力者"の声が聞こえる。
「僕も力を貸すよ、紫夕」
ーー……っ、え?
その声と、研究所の奥から現れたその人物を見て、俺は信じられなくて目を疑った。
焦げ茶色の瞳、焦げ茶色のクセッ毛の長髪を後ろで束ねた、白いロングコートに長身を包んだ男。それは……。
「っ、風磨?」
幼馴染みで、同じ守護神で隊員として働いていた同期で、同僚で、親友。一条 風磨だったのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる