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第1章(4)紫夕side
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「いや~、助かった!マリィ、本当にありがとなっ!」
「いえいえ。紫夕ちゃんと雪ちゃんの未来の為にお役に立てるならアタシは嬉しいわぁ~」
未来の為にーー。
ニヤニヤしながらそう言われるのは少々オーバーな気もしたが、何はともあれ事は良い方向に進んだ。
院長先生に話した結果、俺の熱意とマリィの協力が認められて雪を無事に引き取れる事が決まった。
「留守中にしっかり見て下さる方がいるなら良いでしょう。
その代わり、絶対に寂しい想いはさせないであげて下さいね」
それが院長先生との約束だ。
実の親を亡くした上に、その後に引き取られた先で辛い想いをしている雪。今の雪にとって、大人は自分を辛い目に遭わせてばかりの存在だ。きっと、これ以上辛い目に遭う事があれば、雪の心は本当に壊れてしまうかも知れない。
……院長先生は、そう心配していた。
寂しい想いなんてさせるか。
むしろ、アイツがうっとしがる程に構ってやるーー。
そんな決意を固めて保護施設を出たが、一緒に暮らせる事が決まったからか、何だか無性に雪に会いたくなってきた。
見付かってまた看護師に怒られるかも知れねぇが、少しでも早く一緒に暮らせる事を雪にも伝えたくなったんだ。
ウキウキしてついつい早くなる足を、俺は自宅への帰路ではなく医療施設の方に向けた。
「あら?紫夕ちゃん、何処行くの?」
「し~っ、雪ん所」
「えっ?」
「一緒に暮らせる事、早く教えてやりてぇんだ。
それに今日さ、帰り際に初めて俺の事引き止めてくれたんだよ。きっと、寂しいんだ。だから、様子も気になるしちょい行ってくる」
「あらあら、ホントに嬉しそうね~。
……よし、アタシも行くわ。さっき紫夕ちゃんが言ってた、確かに入院が長いのもちょっと気になるしね」
俺の言葉を聞いて呆れるような溜め息を吐きながらも、すぐに微笑ったマリィはそう言って俺の悪い行動に付き合ってくれた。
……
…………後に思う。
この時マリィが一緒に来てくれてなかったら、俺は絶対に、雪と一緒には居られなかっただろう、って……、……。
「いや~、助かった!マリィ、本当にありがとなっ!」
「いえいえ。紫夕ちゃんと雪ちゃんの未来の為にお役に立てるならアタシは嬉しいわぁ~」
未来の為にーー。
ニヤニヤしながらそう言われるのは少々オーバーな気もしたが、何はともあれ事は良い方向に進んだ。
院長先生に話した結果、俺の熱意とマリィの協力が認められて雪を無事に引き取れる事が決まった。
「留守中にしっかり見て下さる方がいるなら良いでしょう。
その代わり、絶対に寂しい想いはさせないであげて下さいね」
それが院長先生との約束だ。
実の親を亡くした上に、その後に引き取られた先で辛い想いをしている雪。今の雪にとって、大人は自分を辛い目に遭わせてばかりの存在だ。きっと、これ以上辛い目に遭う事があれば、雪の心は本当に壊れてしまうかも知れない。
……院長先生は、そう心配していた。
寂しい想いなんてさせるか。
むしろ、アイツがうっとしがる程に構ってやるーー。
そんな決意を固めて保護施設を出たが、一緒に暮らせる事が決まったからか、何だか無性に雪に会いたくなってきた。
見付かってまた看護師に怒られるかも知れねぇが、少しでも早く一緒に暮らせる事を雪にも伝えたくなったんだ。
ウキウキしてついつい早くなる足を、俺は自宅への帰路ではなく医療施設の方に向けた。
「あら?紫夕ちゃん、何処行くの?」
「し~っ、雪ん所」
「えっ?」
「一緒に暮らせる事、早く教えてやりてぇんだ。
それに今日さ、帰り際に初めて俺の事引き止めてくれたんだよ。きっと、寂しいんだ。だから、様子も気になるしちょい行ってくる」
「あらあら、ホントに嬉しそうね~。
……よし、アタシも行くわ。さっき紫夕ちゃんが言ってた、確かに入院が長いのもちょっと気になるしね」
俺の言葉を聞いて呆れるような溜め息を吐きながらも、すぐに微笑ったマリィはそう言って俺の悪い行動に付き合ってくれた。
……
…………後に思う。
この時マリィが一緒に来てくれてなかったら、俺は絶対に、雪と一緒には居られなかっただろう、って……、……。
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