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(6)リディアside

6-2

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……でも。


「っ……いつまでもガキ扱いすんなよッ!!」

部屋に響き渡るヴァロンの叫び声。
彼は荒っぽく服を脱ぎ捨てる。


っ……。

思わず見惚れてしまう。
鍛え上げられた、男の身体。
心臓が破裂してしまうのではないかと思う位、美しい。

そして、ヴァロンの射るような鋭い眼差しが……。私の瞳と間近で重なる。


「……俺を、見ろよ。
ちゃんと、俺を見ろよっ……」

「っ……」

ヴァロンの全てに、惹き寄せられる。

もう、抵抗なんて……。出来なかった。


っ……だって、好き。

目の前にいるのは、私が生涯でたった一人。
愛した人……ッ!


私は彼の首に腕を回し、熱い口付けを強請るように深く唇を重ねた。


一度だけ。
今夜だけ。

神様、私にヴァロンを下さい。


……。

深く身体を繋げて、共に果てても……。
もっと、もっと……と。
私とヴァロンは何度も求め合った。

このまま明日なんて来なければいい。
ずっとヴァロンの腕の中で、ただの一人の女の子でいたかった。

……。
…………。

明け方、ふと目を覚ました。

いつの間にか意識を手放していた私。
その間も私を離さないで、抱き締めてくれているヴァロン。
さすがの彼も、眠っていた。


……可愛い寝顔。

そっと顔を少し上げて彼を見つめる。
昔から、憎らしい位に長いまつ毛。
変わらない寝顔。

おかしいな。
今まで何十回、何百回……。
それ以上見てきたヴァロンの寝顔。

これが最後だなんて、思えない。

変なの。
好きな人に抱かれて、嬉しいのに、幸せなのに……。

涙がじわじわと、滲んでくる。
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