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番外編 虹の雫〜リディアside〜
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【数日後/闇市場】
仕事を終わらせて帰ろうとした時だった。
通り掛かった時に小耳に挟んだの、珍しい容姿をした子供の話。
今日の競り市のメイン。
別に助けるつもりも、買うつもりもなかった。
でも、帰りの船まで時間もあるし……。
私はなんとなく、会場に足を進めていた。
暗い会場。
ステージに上げられたその子供は、小さかった。
俯いているその姿は、一瞬女の子かと思わせるくらいに貧弱で……。
照明を当てられて、透き通った色素の薄い白金色の髪が輝く。
私と同じ、運命の子供。
誰に買われても、同じ。
自分で歩かなきゃ、何も変われない。
可哀想ね。
と、同情した……その時だった。
「おい、お客様に顔を見せろッ……!」
黒いスーツの男に、グイッと強引に顔を上げられる子供。
長い前髪の隙間から、ゆっくり見開かれたその目は……。
客席を射るような鋭い眼光。
「!……ッ」
私はその子の瞳から、目を逸らせなくなった。
呼吸が、止まる。
その次の瞬間。
子供は目を細めて笑った。
私の心臓が、トクンッと……鳴る。
その子供の表情が、昔絵本で見た王子様の絵と……。何故か重なる。
”やっと、見付けた”……。
”やっと、逢えた”……。
それは直感で、無意識に感じた感情。
「……5億ッ!!」
気付いたら、私はその子を競り落としていた。
……
…………。
仕事を終わらせて帰ろうとした時だった。
通り掛かった時に小耳に挟んだの、珍しい容姿をした子供の話。
今日の競り市のメイン。
別に助けるつもりも、買うつもりもなかった。
でも、帰りの船まで時間もあるし……。
私はなんとなく、会場に足を進めていた。
暗い会場。
ステージに上げられたその子供は、小さかった。
俯いているその姿は、一瞬女の子かと思わせるくらいに貧弱で……。
照明を当てられて、透き通った色素の薄い白金色の髪が輝く。
私と同じ、運命の子供。
誰に買われても、同じ。
自分で歩かなきゃ、何も変われない。
可哀想ね。
と、同情した……その時だった。
「おい、お客様に顔を見せろッ……!」
黒いスーツの男に、グイッと強引に顔を上げられる子供。
長い前髪の隙間から、ゆっくり見開かれたその目は……。
客席を射るような鋭い眼光。
「!……ッ」
私はその子の瞳から、目を逸らせなくなった。
呼吸が、止まる。
その次の瞬間。
子供は目を細めて笑った。
私の心臓が、トクンッと……鳴る。
その子供の表情が、昔絵本で見た王子様の絵と……。何故か重なる。
”やっと、見付けた”……。
”やっと、逢えた”……。
それは直感で、無意識に感じた感情。
「……5億ッ!!」
気付いたら、私はその子を競り落としていた。
……
…………。
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